嶽本野ばら

嶽本野ばら「ミシン」

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 やっぱり野ばらさんの作品は染みてくるなぁ。もう大好き。はまりまくっています。

 この本は「ミシン」と「世界の終わりという名の雑貨店」の二作が収録されているのだけれど、「世界の終わりという名の雑貨店」がいい。今、野ばらさんと言えば、「下妻物語」の原作者で有名だけれど、この作品も三年ほど前に映画化されているらしい。たしかに映画にしても素敵だろうなと思えるような世界と人と人の関係を書いた作品だと思う。

 私自身はファッションになどあまり興味はないのだけれど、人と上手く接することができず、自分自身をどう表現したらいいか分からない人間が、周りに広く理解はされないゴシックロリータ系の服装で身を包むというその感覚は、ものすごくリアルに伝わってきた。そうやって、そういう価値観を持っていない人にも一つの価値観を理解させるというのは、力だよなぁ、ほんと。

 この間読んだ「エミリー」にもかなりはまり、この間は明治神宮に行ったついでに、「エミリー」の舞台であるラフォーレ原宿に行き、「Emily Temple Cute」の店をのぞいてきてしまった(笑)

 あと野ばらさんの作品には必ず、社会に上手くなじめない人というのが出てくるのだけれど、同じように世界からはみ出している人と出会い、その二人だけで一つの満ち足りた世界を作り出すというのがすごい。野ばらさんの作品には、最後の最後には人を信じているのかもしれないと思わせる、核心の部分のあたたかさがあって、それが心地よいし、救いになる。たとえラストはハッピーエンドではなくても。

 それから文体が内容に異様に合っているんだよなぁ。たとえば「嗚呼、同じ魂を持つ君よ!」なんて文章、他の人が他の作品の中で書いたら、「小説を書くセンスの欠片もない!」と私はその人にはっきりと言ってしまうと思うけれど、野ばらさんの小説の中にあるとこんな一文でさえ許せてしまう。うわぁ、プロの作家というのは、これくらい個性を持った人のことを言うんだと、思い知らされる。

 正直「ミシン」はちょっとよく分からなかったけれど、でも出ている本は全部読みたいなと思う。前も書いたけれど、読書をする幸せをこんな感じたこと、最近、なかったもの。

 今は、サイン会とかあったら行っちゃいたいくらい好きだけど、やっぱりそういうときはゴスロリ系の服を着ていかないといけないのだろうか(笑) 野ばらさんのサイトを見ると、自分のことを「野ばらちゃん」と読んでいるし(おじさんなのに……)、うーん、私は本当にその世界についていけているのだろうかと不安も感じるけれど、純粋に「作家」の部分を信奉しております!

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