エッセイ

高橋 歩「ISLAND STORY」

高橋歩の立ち上げたバーで飲んで

先週、ウインドサーフィンの人たちと千葉のバーで飲んでいたのだけれど、店のホームページを見たら、そのバーは、「高橋歩ら4人が学生時代に立ち上げたもの」という説明があった。

高橋歩ってどっかで聞いたことあるような......と気になり、調べていたら、すごく変わった経歴の人!

 

大学時代にバーを作っただけではなく、そのあと自伝を出版したいがために、自ら出版社も立ち上げた、とか。

本を出したいから出版社を作るって、新しい発想!

 

それ以外にも、沖縄に自給自足の村を作って、そこで色々なアクティビティーのできる宿泊施設を建てたり、バーでも出版社でも、宿でも、ある程度事業が軌道に乗ると、知り合いに売って手放し、家族と世界一周の旅に出かける......とか、通常の日本人の発想ではありえない人生を送っている人のよう。

 

ただ、そういう相当変わった、エネルギッシュな人というのは、カリスマになる一方で、批判もされるというのが、世の常で、ネットで調べると、マイナスの情報も色々出てくる。

たとえば沖縄の自給自足の村は、最初は池間島というところに作ろうとしたけれど、島民の反対で、引かざるを得なかったとか、ネットワークビジネス的なお金の稼ぎ方をしているらしい......とか。

 

今帰仁村のビレッジを軌道に乗せるまでの自伝

この本は、高橋さんが一回目の世界一周旅行から戻り、沖縄に住み始めたあと、まず読谷村でバーを開き、そのあと池間島のプロジェクトに失敗し、でも今帰仁村にビレッジを建設し、軌道に乗せるまでの自伝、というか、エッセイ(5年くらい前の本)。

写真が多く、文字は少ないので、フォトブック的な印象。

沖縄のきれいな海や、仲間とのわいわいがやがやな感じが伝わってくる写真が多い。

そして文章は、非常に軽い。でも写真や、内容と合っていて、不快ではない軽さ。軽いというより、テンポがいい、と言った方がいいかな。

 

でも、文字が少ないし、重みがないので、さらりと読めるのだけれど、読むと素直に元気になるというか、「あぁ、そんなふうに考えて、生きるっていう選択肢もあるんだな」と思えて、楽しい本だった。

 

発想力豊かで行動力もある

本の中には、池間島のプロジェクトの失敗も素直に書かれているのだけれど、それもちゃんと受け止めつつ、でも深刻になりすぎず、次に進む力にしている。

高橋さんに会ったことはないから、本当にはどんな人なのかは分からないけれど、本を読む限りでは、きっと、まわりには色々、高橋さんを利用してお金を稼ごうとする人がいたり、色々な利害関係があるんだろうけれど、高橋さん自身は、とてもピュアで、無邪気な人なのかもしれないな、という印象があった。

単純に、発想力が豊かで、行動力のある人の周りには、色々な人が集まってくるよね、と。

「生きるって、マジ、素晴らしい!」

そう言えない日だってあると思うけれど、それでも、毎日、生きることは素晴らしいんだと言い聞かせながら、まっすぐ生きている感じが伝わってくる。

 

いい土地や物件があったとき、断られても、「まぁ、でも、最初に断られるのは、基本でしょ!」と考え、そこから何度も何度もオーナーを訪問して、8回とか9回出向いて、関係性を築いて、「君たちになら貸そう」と言わせる。

8回、9回も訪ねて、親しくなったら、それは上手くいく可能性も高いだろう。

そう頭では分かっていても、普通の人は、1回断られたら止めてしまう。根性のある人でも、3回行ってダメならやめてしまうだろう。

でも、そうじゃないんだ。やりたいことをやっている人っていうのは、運がいい人なんじゃなくて、こういうところで、さらりと努力しちゃえる人なんだな。

 

高橋歩信者になって、「好きなことでメシを食う」なんてセミナーに行く気はないけれど......、この間の海士町の「若者 よそ者 ばか者」を例に出すまでもなく、こういう「ばか者」(常識を逸した大胆な行動をとれる人の意味)を受け入れるキャパを作ることが、地域の活性化にも必要なのかもしれないな、なんてことも考えさせられ、色々刺激になった。

ISLAND STORY(アイランド・ストーリー)ISLAND STORY(アイランド・ストーリー)
高橋 歩(たかはし あゆむ)

 

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