美術

藤本壮介の建築:原初・未来・森

森美術館で開催されている「藤本壮介の建築:原初・未来・森」に行ってきた。

藤本壮介さんというのは、大阪・関西万博の象徴《大屋根リング》の設計者。

森美術館のサイトで「いま、最も注目される日本の建築家の一人」とも紹介されているように、本当に各所から引っ張りだこの人気のようで、現在進行形のプロジェクトが何十本も走っていることが、今回の展示からも分かった。

 

遊び心満載の展示にワクワクする

私は文系人間のくせに、「建築」は結構好きな方。

大学時代2,000円以上する建築雑誌を意味なく買って眺めて楽しんでいたくらい(笑)

高校時代、数学と物理で挫折するまでは、自分は理系人間だと思っていたし、中学時代は建築家になりたかった。

 

と、私は、美術展のなかでも、建築家の展示は好んで足を運ぶ建築好きではある。

でも、そうでなくても、この展示は多分、ワクワクときめくものだと思う。

 

特に最初の部屋。

思わず、うわぁ!と声が漏れてしまったくらい、素敵すぎる空間だった。

外国人が6割くらい!

建築模型が、すでに建物になっているものも、構想段階のものも併せて多数並んでいる。

そして、そこに至るまでのアイディアが、様々な素材や形のオブジェとなり、建築模型の周りなり上なりに飾りのように散りばめられている。

上に飾られているオブジェはモビールのようになって、美術館の空調によって微かに動いていたりもして、その軽やかな動きもまた、この空間を彩っている。

 

模型もアイディアも全公開! という大盤振る舞いっぷりで、しかも9割以上の展示は写真撮影可(動画も1分以内なら可)。

 

 

すごい、すごい!と心の中で叫びながら、写真撮りまくった。

 

建築家というより、ミニチュア模型マニアみたい

最初の部屋を見て思ったのは、「絶対、藤本さんはこの模型作りを少年のように楽しんでいるはずだ」ということ。

実際はどうか全然分からないけれど、私にはワクワク感が伝わってきた。

 

最終的には難しい計算をして図面を描いて、建築物ができあがるんだろうけれど、

その部屋にある模型は、

「ここにこんな板を置いて、ここにこんな段を置いて、ここをちょっとくりぬいて、ここに木々を置いて……こんなところに人が座ったら、なんか素敵だよね」

みたいなアイディアと、うきうきした気持ちにあふれていて、見ていて、楽しい!みたいな。

 

空間把握能力とか、数学とか物理とかが原因で、私は建築家の夢をあきらめてしまったけれど、

こんなふうにいろいろ手を動かして、自由に発想を膨らませ、形を作って行った先に建築物もあると考えたら、

建築って、そんなカチッとしたものじゃなくて、もっと柔らかくて、夢のあるものなのかもしれないな、なんてことが感じられた。

 

もちろん、一級建築士になるには、すごい難しい試験があるし、一級建築士の資格を取っても、それで食べていかれる人、大きな仕事を任される人はほんの一握りの才能ある人だってことも分かってはいるんだけど。

でも、建築というものに対する見方が変わった、素敵な展示だった。

 

作者の意図を聞くのも好き

素敵な作品を見ると、その人の考えや、作成の意図も知りたくなる。

今回の展示も10分くらいのインタビュー動画が3本あり、それを聞くのも楽しかった。

大阪万博 大屋根リングの模型

大屋根リングへの想いを語ったインタビューも良かったけれど、「森と、東京という都市は意外と似ている」という最初のインタビュー動画が印象に残ったな。

 

「両方(森と東京)とも、内と外があるけれど、実はしっかりとは区切られていない」とか、「建築家は道は作れないけれど、道の方が魅力的だと思ったりする」とか「建築物だけ作っても、都市にはならない」とか。

 

一つの道を究めた人の視点って、やっぱり一種独特で、面白いなと思うんだよね。

 

遊び心はキュレーターのものなのか?

ただインタビュー動画は非常にまじめに、固い感じの雰囲気で、最初の部屋で感じた少年っぽさと遊び心は藤本さん由来のものではなかったのだろうか?

とも思い始める。

 

すると最後の方に、こんなユニークな部屋が!

藤本さんの建築物がぬいぐるみのキャラクターになり、会談している!!!

 

受けすぎて、笑いを押し殺すのが大変だった。

たまたまこの部屋に入ったときは、部屋に「他のお客さんが一人+静かに立っているスタッフ」しかいず、“え~、これ、可笑しいよね。笑っていいところだよね?”と心の中で思いながら、でも静かな美術館なので、真顔を作り、撮影だけしてみた(笑)

 

夏休み期間にかかる展示だから、子供も意識したのかな?

でも、最初の部屋は子供入れたら、模型壊しそうだしなぁ。

やっぱり、大人が楽しむものかも。

 

と、もう、本当、楽しく、刺激的な展示で、とても良かった。

 

展示詳細

この「藤本壮介の建築:原初・未来・森」は、2025年11月9日(日)まで、六本木ヒルズの森美術館にて開催。

 

これから行く人へのアドバイスは2つ。

1.模型が多いので、リュックや大きな荷物はロッカー(100円返却式)に預けるのがお勧め!

2.森美術館は当日券であってもオンラインで購入した方が数百円安くなるので、お得。

 

普通の建築展とは違った、建築というものに対するイメージまで変わってしまうような展覧会。

ぜひ、見に行ってみてください♪

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