創作小説

「紫のガラス」

紫のガラス 1-1

2024/11/8  

※火曜日・金曜日更新   「驚くほど、変わらないね」  窓の外を眺めながら新井さんが言った。窓を開けると湖と湖を取り囲む緑が見える。遠くには少し靄がかった山々の青。思わず深呼吸したくなるような、広々と ...

「その影を」

その影を エピローグ

2024/11/1  

 コーヒーがほとんどなくなりかけた頃、桜井が息せき切ってカフェに現れた。  格子状の庇が幾何学模様の影を落とす窓の外を見ていた視線を上げる。 「遅い」 「ごめん。言い訳だけど……昨日、帰りが遅くなって ...

「その影を」

その影を3-3

2024/10/29  

※毎週火・金更新 ※この作品は「プロローグ」から始まっています。    黒川先生が仕上げた設計図とそれを元に作り上げた私の模型は、次の打ち合わせで“とてもいいですね”という言葉をもらい、報われた。   ...

「その影を」

その影を 3-2

2024/10/25  

※毎週火・金更新 ※この作品は「プロローグ」から始まっています。    結局、私と桜井で黒川先生を訪ねることになった。  黒川先生は今も善場先生の家にいるらしい。そこまでは桜井が電話で確認してくれてい ...

「その影を」

その影を 3-1

2024/10/22  

※毎週火・金更新 ※この作品は「プロローグ」から始まっています。    翌日、私の気分とは裏腹に天気はとても良かった。朝晩の風は冷たいけれど、その分、日の光の温かさが体に染みわたる季節。まだところどこ ...

「その影を」

その影を 2-5

2024/10/18  

※毎週火・金更新 ※この作品は「プロローグ」から始まっています。    そう、黒川先生のパソコンのロック画面に使われている美術館の外壁には、太陽と月の装飾がつけられているのだった。金属プレートで作られ ...

「その影を」

その影を 2-4

2024/10/15  

※毎週火・金更新 ※この作品は「プロローグ」から始まっています。    侵入すると言っても、相手はパソコンなので、パスワードを推測してロック解除するか、黒川先生にパスワードを教えてもらうか、の二択だ。 ...

「その影を」

その影を 2-3

2024/10/11  

※毎週火・金更新 ※この作品は「プロローグ」から始まっています。    ちょうどそのとき、佐山さんが打ち合わせスペースの近くを通りかかる。 「わ、懐かしいなぁ、これ」  佐山さんはちょっとレトロ感のあ ...

「その影を」

その影を 2-2

2024/10/8  

※毎週火・金更新 ※この作品は「プロローグ」から始まっています。    ただ、事務所の存続について一つの合意に達しても、個別案件については、まだまだ話し合って決めなくてはいけないことも多かった。私たち ...

「その影を」

その影を 2-1

2024/10/4  

※毎週火・金更新 ※この作品は「プロローグ」から始まっています。    打ち上げの翌日は日曜日で、みんな休みだった。日曜日でもお客様との打ち合わせで部分的に出勤するときもあるが、その日はうまくみんな休 ...

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