作家活動

記念すべき日:伊豆文学賞佳作の連絡

今日、生まれて初めて自分の小説がお金になりました。

お金になったと言っても、別にプロの「報酬」としてお金をもらったわけではありません。

プロになるのとは関係のない地方の文学賞の佳作に選ばれただけのことです。

50枚の作品で5万円。費やした時間を考えれば、多分時給1000円ほどの計算でしょう。しかも、そういう「賞金」はあくまでご褒美みたいなもので、報酬とはやはり違います。

 

でも、11歳の頃から、もちろん初めは遊びでしかなかったけれど、小説らしきものを書いてきた私にとって、自分の作品に金銭的な価値がついたというのは、やはり特別で、感慨深いものです。

今回の賞は、1番優秀だった作品は100万円、2・3番目が20万円というもので、最終選考に残ってからは、「宝くじ、当たれ!」というぐらいの気持ちで100万円を夢見、もうちょっと現実的な夢として20万の使い道を考えたりしてみました(笑)

だから「佳作」ときいた時、嬉しいけれど、ちょっと残念な気持ちもありました。上でも計算したように、5万の賞金というのは、時給1000円の超現実的な世界だったからです。

 

私の知り合いには、自信のある人が多いのか(それとも、小説家になりたいなんて人はみんなそうなのか分かりませんが)、大抵、1番目以外の賞を獲ると、「なんで自分のが一番じゃないんだ」というような言い方をします。

選考委員に見る目がないとか、賞の傾向が間違っているとか……。

私も「佳作です」と言われて、「あぁ、静岡県の人じゃないからね」とか、「もっと年輩の人の作品の方が良かったのね」と結構本気で思います。(まぁ、「絶対自分が一番だ」なんてほどの自信は今まで一度ももてたことがありませんが……)。

 

ただ、電話を置いて少し冷静になって思うのは、人の作品がどうとか、自分の作品がどうとかいうことではなく、「経験」としてこれが一番ベストだったんだ、ということです。

まだまだ目指すべき上があること、小説を書くということは決して楽して大金をもうけるギャンブルではなく、地道な作業であることを感じることができたからです。

もしここで100万獲ってしまっていたら、見失ってしまったことがきっと私にはあったのだろうし、最優秀賞を獲った人は、逆にそこでそれを獲らなかったらダメになってしまう理由があったのではないか……負け惜しみではなくて、なんとなくそう思うのです。

クリスチャンではないけれど、心の奥底では神様の存在を信じている人間なので思うことかもしれません。

 

よく分からないけれど、一つだけ確かなことは、将来プロの作家になっても、私はきっと、この5万円のことを忘れないだろうということです。

まだまだ今は、初めの一歩を踏み出しかけた程度のところです。

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