東京都現代美術館で開催されている「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展へ。
不勉強で、石岡さんの名前を初めて聞いたのだけれど、非常に密度濃く、圧倒されるような展覧会だった。
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平面から空間芸術へ
石岡さんは大学卒業後、資生堂の宣伝部に入り、そこで次々ヒットを飛ばし、20代で「アートディレクター」として頭角を表す(そこでの仕事のメインはポスターなど平面上のデザイン)。
資生堂を退職後は、渋谷パルコのポスターデザインで注目を集めたらしい。
そして、30代からは舞台美術や衣装、映画の衣装、オリンピックの服装デザインなど、立体芸術のほうへ活躍の場を広げていく。
ポスターや広告デザインは、(私はちょっと世代が違うので、想像でしかないけど)「確かに、この頃にこれを出したら、目立つだろうなぁ」という視点の鮮やかさ。
そして衣装デザインも非常に尖っていて、個性的。
舞台美術の担当なども何度かしたようで、その舞台装置のデザインと、そのデザインにした理由も「素敵!」と思った。
他の分野のクリエイターとのコラボは……
舞台でも映画でも大勢の人が関わって作られる作品。
今回の展示には石岡さんのこんな言葉が掲げられていた。
オリジナリティを持った他の分野の
クリエイターとコラボすることは、
エキサイティングなボクシングをするようなもの。
楽しんでいるけれど、戦ってもいる(笑)
石岡さんの最後の作品は、「白雪姫と鏡の女王」という映画の衣装だったそうだけど、この衣装も豪華で、すごく目を引く。
で、思ったのは、これだけ個性が強いと、「衣装にこだわります」という監督と作品でないと、採用されないよねということ。
「衣装や美術が主役です!」という映画か、「この個性的な衣装に負けないだけの奇抜なストーリーと設定です」という作品でないと、生きてこない。
だから、「才能や個性を発揮する」ことも大切だけど、「その才能を最も適切に発揮させられる場所を持つ」こともクリエーターにはとてもとても大事なことなのだな、なんてことを思った。
写真撮影NGなのだけど、頭に焼き付く
今回の展覧会は珍しく写真撮影NG。
舞台や映画の衣装など、どれもインスタ映えしそうな、すごい存在感と華やかさのある作品で、写真撮影可能だったら、SNSで拡散されそうな内容。
きっと厳しい権利関係があるんだろうけれど、ビジュアルで良さを伝えられないのは、ちょっと残念。
展示は一階と地下に及び、それぞれの部屋ごとに舞台や映画の世界観が表されていたり、石岡さんのインタビューの音声がBGMのようにずっと流されていたり、展示方法までずごく力が入っていた。絶対、現代美術館のキューレターに石岡さんの大ファンがいるだろ! と思いながら見ていた。
展覧会が始まったばかりの頃は「密!」というくらい混んでいたらしいけれど、今は見たい人は見終わった感じなのか、緊急事態宣言のせいなのか、日時指定予約などしなくても、待ち時間なくスムーズに入れ、まったく密でなく、のんびり見られる。
それは見る側としては嬉しいはずなのだけれど、「え~、もっと注目されていい展覧会だよ!」という思いがなんか、消えなかった。
それくらい、作品もすごいし、美術館側の想いみたいなものもすごかった。
どんな作品が見られるのかは、是非、東京都現代美術館のサイトで確認してもらいたい。そして気になったら見に行ってもらえたら!
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/eiko-ishioka/
2021年2月14日(日)まで