美術

塩田千春新作展

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 初台のケンジタキギャラリーで開催されていた「塩田千春新作展」へ。

 ぴあで紹介されていたから行ってみたのだけれど、入ったら暗い部屋にスクリーンがあって、5分くらいの長さの「パフォーマンス・ビデオ」がループ再生されていた。
 
 正直、よく分からなかった……。なんかただ怖かった。
 
 薄暗い部屋に、何故か砂が降り注ぎ、床につもっていくという映像が少しあり、それから、人の目のアップになり、その目が、ものすごい時間をかけて、ゆっくりと開いていく。
 
 ……そこが怖い! 理由なく怖かった。
 
 「ちゃりん」とかいう感じの効果音がずっと鳴り続けているのも、ぞっとする。
 
 多分、作者の意図とは違うと思うので、ごめんなさいという感じなのだけれど、「映画」にはならない、「アート・フィルム」という感じで、それはそれで刺激になった。
 
 あと、受付の方にその人の過去の作品の写真集があったのだけれど、それもおもしろかった。薄暗い洗面所に、無数のひものような糸のようなものが四方八方からからみついてきているものとか、泥だらけになって地面をはいつくばる女性(作者)の写真とか。

 前者は岩井俊二監督の「UNDO」を少し思い出させたが、そんな美しい感じではなくて、むき出しの痛みだった。

 そういう、決して美しくはない写真(作品)を見ながら、これだけ痛みなどの抽象的な感情をストレートに表現できるのは、言語を介在させない視覚芸術の特権なのではないかという気がした。

 もちろん文学でも痛みとかそのほか諸々の複雑な感情を表現できる。でもそれは視覚芸術に比べると、一度きちんと交通整理されたものになってしまうのかもしれない。

 文学の可能性を否定するわけではなく、そういう特色をふまえた上で、文章を通してやるべきことを考えなくてはいけない、という意味で、そんなことを考えた。

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