美術

蜷川実花「瞬く光の庭」展

東京都庭園美術館で開催されている蜷川実花さんの「瞬く光の庭」展へ。

私はインスタで「美術手帖」のアカウントをフォローしているのだけれど、庭園美術館の緑と蜷川さんの花の写真がコラボされている写真を見て、「晴れた日に絶対行くぞ!」と思っていた。

この時期、晴れた日は大抵暑く、なかなか重い腰が上がらなかったのだけれど、そんなことを言っていると会期が終わってしまいそうなので(9月4日まで)、行ってきたよ!

ただ、お盆の時期で人が多かったので、時期をずらした方が良かったかも、とは思った。

 

極彩色から光彩色へ

今回の作品はすべて、2021年~2022年に国内で撮られた写真のみ集めた「新作展示」。

私の個人的な感想としては、「優しい写真になったなぁ」だった。

蜷川実花の写真と言ったら、私にとっては、“どぎつい原色の来襲”のイメージだった。

美しいとは思うけれど、見続けているとちょっと胸焼けしちゃうようなどぎつさ。

今も鮮やかさやカラフルさは残るのだけれど、でも、とても優しくなった。

 

蜷川さん自身はそれを「『極彩色』から『光彩色』への変化」と語っていたけれど、なるほど、と。

確かに、今までと同じように「色」に重きを置いてはいるけれど、同時に色を超えた「光」にも重きを置いているのだな、と。

 

庭園美術館という場所との調和

そして、その光の感じとか、優しさとか柔らかさが、庭園美術館の窓から見える緑と調和していて、非常に良い展示だった。

蜷川さんもインタビューで、庭園美術館という歴史の重さのある建物での展示ということを非常に意識して準備をしたと話していたけれど、本当、新作ばかりだからこそできた、場所との融合だったように思う。

 

展示内容はほとんど花。

そして庭園美術館は「旧朝香宮邸」をそのまま使っているので、一つ一つの展示会場=一つの部屋という単位で、だから普通の美術館と比べると「小さな部屋がいくつもある」という感じの構成になっている。

今回の展示はその「細かく分かれている」ことも上手く利用していて、基本一部屋につき一つの花、になっていた。

だから、一つの部屋に入ると、藤色が一面広がるとか、逆に一面真っ赤で構成されているとか、そんな感じ。

それがまた良かったな。

↓ 藤の部屋が特に圧巻。

写真を撮れるのは限られた部屋なので、他の花の部屋の写真はなくて残念だけれど、でも、ここの部屋が一番良かった。

 

自分の心が動いているか

私も趣味で、花の写真はもう数十年撮ってきているのだけれど、たまに自分の構図に飽きを感じる。

自分が好きな撮り方が分かってきちゃって、毎年かなりの数撮っている紫陽花とか紅葉の写真は、段々「去年もこの構図で撮ったよな」みたいになってしまう💦

 

でも、人の写真を見ると、「なるほどね、こういう撮り方もあるんだなぁ」「こういう視点もありか」という刺激をもらえるのがいい。

私は蜷川さんからは「足し算」を学ぶ。

よく「写真は引き算の芸術」といい、主題を主題として人に見せるために、主題以外を排除するのが定石とされている。

でも、蜷川さんの撮り方は、足し算だなぁ、と。

「その背景に、そんなカラフルな背景選ぶ?」とか「ここにこの色の前ボケ入れちゃう?」とか、よく見ると面白い。

あと、かなり望遠で撮っているんだろうな。だから限られた画面に、様々な要素がぎゅっと凝縮されて写されている。

 

でも、『線は、僕を描く』の名言じゃないけれど、表現において、才能やセンス、スキルは実は二の次だなということを最近強く感じる。

 

蜷川さんもインタビューで、

蜷川実花らしい写真というのは、結構簡単に撮れると思う。

私が大切にしているのは、一回一回、シャッターを押すときに、自分の心が動いているか、を見ている。

もう何十年も花を撮ってきているけれど、私が飽きたら終わりだと思うから。

みたいなことを言っていた。

一回聴いただけだから、全然正確じゃないけれど、でも、表現することにおいて、本当にここは重要なことだなと思う。

 

インタビューには、実際に蜷川さんが撮影しているシーンもたくさん紹介されていて、地面に腹ばいになって下から花を撮る姿に、あぁこの人は本当に写真を撮るのが好きなんだなぁと思った。

今まで華々しい経歴と、華々しい写真の印象が強すぎて、ちょっと斜に構えて見ていたかもしれない。

今回、とても素直に、この人の写真、また見たいなと思った。

 

9月4日まで。気になった方は是非!

↓ 新館には映像作品が。複数枚設置されたパネルに、少しずつ違った映像が映される。パネルのあいだに人が入れるのだけれど、中に入った人もシルエットの作品みたいになる。

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