実在した女流詩人の生き様を描いた映画。
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芸術家として、女として
全体的に悲しいトーンで描かれていて、どうしてそういうふうに考えて、そういう方向に行ってしまうのだろう……ともどかしい気持ちにはさせられるけれど、ある意味で、「芸術家」「女性」というものをリアルに捉えた作品だと思った。
シルヴィアは大学時代に知り合った才能ある詩人と結婚するが、認められるのは相手ばかりで、自分はその「妻」という立場でしかない。
家という狭い世界に閉じこめられ、書くべき内容も失い、追いつめられていく。
そして夫を唯一の支えとしているがために、その存在を喪うことをおそれ、彼が浮気をするのではないかという過度の不安にさいなまれていく。そして、夫は現実に浮気をする。
私自身、結婚し、仕事もせずに家に閉じこもっていた期間を経て、自分が「女」としてどう生きなくてはいけないかということを、とても意識的に考えるようになった。
家庭、仕事、子供、自分の夢……何をどう選び、優先させていくべきなのか。
そんなときだからこそ、この映画に関心を持ったし(詩人と純文学系の小説家は似ているし)、その生き方の痛さが分かってしまった。
反面教師的な映画
本当にリアルで、そして反面教師的な作品だった。この映画を見ると、こんなふうに思考してはいけない、こんなふうに夫に接してはいけない、ということを学ぶ(笑)
彼女は夫の浮気を知ったときに言う。「彼女の存在は、私の想像力が生み出したものだ」と。
この台詞が重かった。確かに、彼女は夫を失いたくないばかりに、彼を疑い続け、彼をいたたまれない気持ちにし、他の女の元に走りたくなるほど追いつめていったのだから。
最近、イメージトレーニングというものの効力を信じ始めているのだけれど、リアルに心に思い描いたことは、少しずつ現実になっていくものだと思う。肯定的なものであれ、否定的なものであれ。
だからこそ、できるだけ自分に自信を持ち、明るい展望を持って生きたいなと思った。負の気は、負の運命しか呼ばない。
映画を見る限り、彼女の周りにいる人はよい人ばかりなのに、彼女の負のエネルギーはどうしようもなく強かったのだろう。
そのエネルギーの強さこそが「芸術家」「表現者」の証なのだとしても、私にはそれは望めないと思った。