芸術に関する考察

中西信洋展-満ち溢れているものへ-

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 今日は久しぶりにギャラリーへ行った。
 上記個展は、京橋のINAXギャラリーで3月1日~29日行われている。

 ギャラリーに行くときは大抵、「ぴあ」に出ている小さな写真と説明文だけを頼りに行く。同じ作家の個展に続けていくことは滅多にない(気が向いたときしか「ぴあ」を見ないので、タイミングが合わないのだろう)。

 でも、「あ、これ、いいかも」くらいの軽い気持ちで出かけていくことがほとんどなのに、「出会ってしまった!」という経験をすることが多いのは不思議だ。小説や映画とは滅多に出会わないというのに……(求めるレベルが違うという話かな?)。

 今回の展示もかなり感銘を受けた。会場に他に人がいなかったので、一人で「うわぁ。すごい」と言いまくった(こういう時、私の語彙は貧弱だと思う……)。

十畳ほどの空間に、九つの白い直方体が立っていて、その上に、九つずつ小さな直方体が載っている。大きな直方体は上の面から光を照らし出している。その光によって小さな直方体は内部に光を抱える。

……といっても、上手く伝わらないと思うのだけれど、一瞬何かよく分からないその小さな直方体は、ポジフィルムを二十枚ほど重ねただけのものなのだ。大きな直方体は、そのフィルムを見るためのライトボックスの役目を担っている。

 写真はすべてかなり露出オーバーで撮ったものなのだろう。二十枚重ねてもまだ明るい。一枚一枚は同じテーマでありながら、少しずつずらして撮ってあるから、覗き込むと奥行きを感じさせる。

 フィルム一コマサイズのボックス。でもそこに世界が閉じこめられている。今まで写真を見て抱いたことのなかった感覚が起こる。写真とは世界を切り取り、閉じこめることなのだ。世界はカメラによって切り取られ、フィルムという手のひらにおさまるサイズに集約されてしまう。

 小さな直方体は、一つ一つがとても小さな小物入れみたいで、風景はただそこに入れられた「もの」になっていた。

 それが新鮮で美しかった。

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