美術

オラファー・エリアソン「ときに川は橋となる」展 感想

新型コロナウイルス拡大防止措置で開幕が延期されていたエリアソン展。

元々の会期は6/15までだったので、ちゃんと開催されるかハラハラしていましたが、会期が6/9~9/27に変更され、東京都現代美術館で無事開催されています! 良かった!

 

あの虹の展示(「ビューティー」)が帰ってきた!

オラファー・エリアソンの名前を知ったのは、2005年~2006年に原美術館で行われた“日本初個展”で。

当時暇人だった私は、作品を紹介する写真を見て(当時は「ぴあ」で探していたんだったかな)“あ、なんか良さそう”と思える美術展に出向いていた。

 

で、衝撃を受けたのが、この「ビューティー」という作品。

※写真は今回の「ときに川は橋になる」で撮影。
15年前は美術館で写真を撮れる日が来るとは思わなかったな。

美術館のなかで本物の水を上から降らし、そこに光を当てて、人工的な虹を作るというもの。

原美術館で開催されたときは、わざわざこの作品のためにプレハブ小屋みたいなものが建てられていて、暗幕を開けてなかに入ると、ざーっと水が流れて、外に流されているような感じで(昔の記憶なので、間違っているかも)、

「ええっ、美術館のなかで、こんなのありなの?!」と衝撃。

そして、そんなすごいこと(美術館のなかに雨を降らせる)をわざわざして作り上げた世界はもう完璧な美しさで、しばらく言葉なく立ちつくした。

人工的なシャワーに光を当てた“虹”は決して自然にできる橋のようにはならなくて、ただ水の壁の部分にだけ淡く浮かび上がり、見る人がしゃがんだり、脇に除けたりすると、消えたり、小さくなってしまう。

でもそんな儚さと隣り合わせの淡い虹だからこそ、逆に鮮やかに心に刻みつけられた。

この展示があまりに印象的で、「オラファー・エリアソン」というちょっと覚えにくい名前は頭の中にあり、瀬戸内国際芸術祭などに出品されている作品も、可能な限り見てきた。

ただ、色々な作品にまざって、ぽつりと置かれた一つの作品には、さほど感動はなく、“あの虹の感動を再び~!”と思っていたから、本当に嬉しい。

 

しかも今回は、上から水を降らすのが、夏によく街中で見かけるようなミストシャワーになっていて、床に水を吸収する素材が使われているのか、水は静かにそこに吸い込まれていき、なんともお洒落な感じがした。
(プレハブ小屋でなく、館内のスペースに普通に設置されているし)

そして、ミストシャワー&床が水を素早く吸収、なので、見る人はミストの裏側に回ることもできる。

私も試しに行ってみたけれど、裏側からは虹は見えないことが分かった。

「光があなたの目に入らないかぎり虹はどこにもない」

というのがエリアソンの言葉らしいけれど、うーん、なるほど。
(分かったような、分からないような(笑))

 

とにかく、この虹の展示を15年ぶりに見られただけで、なんかもう、満足だった!

 

「ときに川は橋になる」

今回の展覧会のタイトルにもなっている「ときに川は橋になる」という名前の作品は、上に書いた「ビューティ」の隣にある。こちらは新作らしい。

こちらも暗幕に囲まれた部屋にある作品で、入ると真ん中に水が入った丸い器がある。その丸い器に向かって、壁から12個光が差し込むように設計されている。

その12個の差し込んだ光が、水の揺らめきによって形を変えながら、壁に映るという作品。

風などない館内の作品だから、多分機械的に水がかき混ぜられるようになっているのだろうけれど、水の揺らめきは、自然界のなかのゆらぎのリズムのようにも感じられ、ぼーっと瞑想状態で見ていられる作品だった。

 

と、私は楽しんだのだけれど、解説によると「絶えず変化しつつ徐々に広がるさざなみのような流動する状況をエリアソンは限界を超えるための欠かせない要素と捉えています。世界との新しい向き合い方を提示するこの作品は本展覧会のための新作です」とのこと。

「世界との新しい向き合い方」が提示されていたらしい。分からなかった(^^;)

 

「ときに川は橋になる」というタイトルも、もうこれ以上進めないと思える限界(川)にも、橋が架かって、先に進めるようになることもある、という意味なのだとか。

芸術って、難しい。でも、まぁ、一人ひとりが好きなように楽しめるのも、また芸術かな。

同じ空間にいた人は、しゃがみこんで水の中をじっと見たり、手で光を遮って見たり、色々なことを試みていた。楽しみ方、味わい方はそれぞれ。

 

他にも美しい作品が複数

上にも書いたように、エリアソンの作品には一つひとつ、深いテーマや思想がある。

特に大きいのが、「自然(地球)を守る」という意識。

今回の展示物も化石燃料を多く使う航空機でなく、トラックと船で運んだとか(作品が道中で味わった揺れが記録されたのが、下記の作品)。

また、動いている作品の動力は、美術館の外に設置されているソーラーパネルで賄われている。

アイスランドの氷河が温暖化で溶けていっているのに警鐘を鳴らす作品や、紙の上で氷河の氷を溶かし、そのにじみ自体を作品にしているものもある。

海外では、氷河の氷を街中に複数置くプロジェクトや、都会の湾に人工的な滝を作る壮大なプロジェクトも行ったらしい。

 

そんな思想と行動の一致も素敵だけれど、私はただ美しいと思うから、エリアソンの作品を見たいと思う。

カラフルな光を四方八方に散りばめながら、ゆったりと動く「太陽の中心への探査」

“特定の波長の光を反射し、補色の光を透過させる特殊な加工”が施された3つのガラス板が揺らめく「おそれてる?」

も、長く見ていても飽きない、心地よく、緩やかな変化のある美しい作品だった。

 

混雑状況

会期1週目の平日午前中に行った感じでは、「平日の企画展って、これくらいの人だよね」という程度の混み具合。

常設展は一部屋に1人、2人みたいな感じだけれど、エリアソン展の方は、そうはいかない。それでも、一部屋に5~10人くらいかな。
(みんなちゃんとマスクをしているし、入り口で検温、アルコール消毒必須なので、コロナが心配な三密ではない)

すごい混んでいるわけでもないし、逆にすごく空いているわけでもなかった。まだ小学校が隔日登校かなにかだからか、小学生の姿もちらほら。

※ちなみに体験型の作品(「あなたの光の動き」)は整理券配布形式になっていて、10時半の時点で「次に予約できるのは13:30です」と言われていた。2人1組になりペンライトみたいなもので光の作品を描くというもの。これは会場中ほどにあるので、体験したい人は、入ってすぐに整理券をもらうといいかも。

美術館側の案内だと、「会期末は混む」らしいから、ねらい目は“これ、始まるの待っていたんだよ!”という人が一通り行き終える6月末~7月上旬くらいなのかな。

ま、とにかくお薦め! 特に「ビューティ」は見逃さずに、是非!!

展示情報

「オラファー・エリアソン ときに川は橋になる」は、2020年9月27日まで、 東京現代美術館(東京都江東区。東西線木場駅か半蔵門線清澄白河駅から徒歩10数分)にて 。

https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/

入り口で検温あり。マスク着用。

すべての作品が写真撮影・動画撮影OK

 

 ★おまけ★

「関連記事」に15年前のエリアソン展の感想記事が出てきて、びっくり! 書いた本人も忘れていた。

 エリアソンの作品に触れたときの心の動きがきちんと表現されている記事だと思うので、こちらも良ければどうぞ!

 → オラファー・エリアソン「影の光」

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