邦画

映画『ハチミツとクローバー』

緊急事態宣言中は、それはそれで濃い時間を過ごしていたけれど、子どもが46時中一緒にいると、なかなかゆったりとした時間は取れず、芸術家としての感性は眠っていたように思う。

小説はずっと書いていたけど、読む気にはならず、ネットで映画を見る気にもならなかった。

6月入ってようやく、少し心に余裕も戻って来た。

久しぶりに映画も見たくなり、夜、Amazon Primeで見始めたら、面白かったのが、これ。

 

一番好きな漫画は『三月のライオン』

『ハチミツとクローバー』は言わずと知れた羽海野チカさんの漫画。

そして羽海野チカさんが今書いているのが、将棋をテーマにした『三月のライオン』。

『三月のライオン』にも恋愛要素があるけれど、「恋愛4:人生とは何か(成功とは何か)みたいなテーマ6」くらいの構成。

そして、6割くらいを占める「人生とは何か(成功とは何か)」の部分が深くて、ぐっと心を鷲掴みにされてしまう。

棋士はそれぞれキャラが濃くて、それぞれに背負っているものがあり、くーっと来る。

その深刻な6割に対して、4割の恋愛が絡んだシーンは軽やかで、ユーモラスで、そのバランスもまた、さすが羽海野さん!! と思う。

 

と……『三月のライオン』にはかなりはまっているものの、『ハチミツとクローバー』は、何度か読みかけては、2,3巻で挫折(最初の頃はまだ洗練されていない感じで、やや読みづらい。きっと読み進めると読みやすくなるのだろう)。この映画も見始めたものの20分くらいで挫折していた。

でも!

見続けると面白かった。

 

ありがちな設定なのに、絶妙

『三月のライオン』もそうだけど、『ハチミツとクローバー』もキャラの設定と配置が絶妙だと思った。

 

『ハチミツ とクローバー』は9割以上「恋愛もの」なのだけれど、

天才系女子(はぐみ)・天才系男子(森田さん)・凡人男子(竹本)の三角関係と、

亡くなった夫が忘れられない理花さんと、理花さんに叶わない想いを抱き続ける真山、そして真山を思い続ける山田……の三角関係。

 

略すと、なんてありがちな、分かりやすい設定なんだろう!!と思う。

でも、このありがちで分かりやすい設定で、ブームを巻き起こすほど人気になったというのは、やはり羽海野さんの力だろう。

 

ドラマにおいて、大抵、凡人は天才に破れる。でも、天才は誰とも戦わず、誰にも勝利しない分……なのか……常に孤独なのだろう。

天才と凡人(努力家)の対比は『三月のライオン』にも出てくるし、羽海野さんとは関係ないけれど、恩田陸さんのベストセラー『蜜蜂と遠雷』(蜜つながり?(笑))もなんか連想した。

人は天才に憧れ続けるしかない。でも、凡人が憧れる天才、という存在は、本当にいるのか……ある程度の年齢になると、疑問を感じたりする。

映画も悪くなかったけれど、やはりいつかちゃんと漫画で読みたいな。

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