邦画

映画「浅田家」

公開終了間際に見てきた。

みんな「鬼滅」一色だけど、敢えてそこは外して(笑)

 

「浅田家」概要

「浅田家」は、「浅田家」という写真集を出した浅田家次男と浅田家全体の話。

「浅田家」という写真集は、浅田家の父・母・兄・本人の4人が様々な職業になりきって撮影した家族写真のみで構成されている。

それが独特だということで、写真界の有名な賞を獲り、メディアにも多数取り上げられた。私も大分前に朝の情報番組で紹介されているのを見たことがある。

 

↓これですね。

そこに愛はあるか?

その写真集の紹介をテレビで見たときは、「面白いな」とは思ったけれど、正直、人目を惹く写真を撮るために奇をてらったアイディアを考え、それが当たったのだろうと思った。

でも、この映画を見ると、それらの写真は「写真のための写真」ではなく、純粋に「家族のための写真」であり、そこに本物の愛があったから、人にも届いたんだろうなと分かった。

最初に撮ったのが消防士だったのは、それが専業主夫として自分たちを育ててくれた父親の夢の職業だったから、というのに、心打たれる。

 

どんな表現も、良い形にも悪い形にも使えるもの。

包丁が料理を作るのにも使えるし、人を殺すのにも使えるように。

大学時代、所属していた写真サークルの部長が言っていた。

「写した相手に渡して、喜んでもらえるような写真しか撮るべきじゃないと思う」

色々な価値観があってしかるべきで、人は人に自分の価値観を押しつけられはしないけれど、その人のぶれない軸には、感じるところがあった。

 

この映画の中にも、震災の被害を伝えるために、心のこもらない写真を撮る人の姿が少しだけ映る。主人公は何も言わないけれど、ちらりとその人に視線を送る。

 

言葉でも写真でも、絵でも、表現には力がある。その力を使う者は、それが悪にも善にもなることを覚悟しないといけない。

 

ダメ人間期間も大事

あとこの映画で印象に残ったのは、主人公のダメ人間期間が結構長いこと。

写真の専門学校には通わなくなり、最後、渾身の一枚が撮れたら卒業させてやる、みたいな言葉でようやく奮起して、一枚、「家族写真」を撮る。

それが学内で評価されるも、卒業後も就職せず、ぶらぶら過ごす。

 

それがとても「ダメ人間」に描かれているのだけれど、本当は人間、これくらい何もしない期間がないと、本当にやりたいこと、やるべきことには気づけず、周りに流されて一生を終えてしまうのではないかなとも感じた。

 

ただなかなか、ダメ人間期間をこの映画の父・母・兄のように温かく見守ってくれる身内は多くない。

家族に何も言われなくても、自分で自分を「これじゃ、ダメだ」と否定することだって多い。

でも、そんな世間の常識に飲まれず、自分のペースを守れる人だけが、本当のひらめきと、本当のクリエイティビティを発揮するのかもしれない。

そんなことも考えさせられる映画だった。

 

まとめ

そろそろこの映画は大きな映画館での公開は終わってしまいそうだけれど、テレビで見ても楽しめる内容だと思うので、動画配信サイトなどで見られるようになったら、是非、見てみてください♪

まだ生きている人の「ノンフィクション」のため、かなりストーリー展開には制限があったのだろうと感じさせる部分はあったけれど、それでも、まだ40歳くらいの人間の半生をこれだけきちんとドラマチックに描けるのはすごいなと感じた。

そして役者がみんな良かった。

二宮君は本当、演技が上手いと思う。どんな役にもすっと馴染む。同じようにどんな役にも馴染んで凄いと思うのが、菅田さん(菅田将暉)。むちゃくちゃオーラある人なのに、冴えない青年役もはまる。

そして損な役回りばかりさせられるけれど、それでも家族に対してすごい大きな愛を持っている「長男」役を演じていた妻夫木君もとても良かったな。

と、まとめると、とても爽やかな気持ちになれる映画でした!

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