それ以外の本

「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」

小説ではないけれど......iPS細胞を開発し、ノーベル賞を受賞された山中信弥氏のインタビュー本を読んだ。

色々なジャンルの本を読むと、刺激になっていい。

 

iPS細胞について文系人間にも分かる

この本を読んでようやく、iPS細胞はどうやってできたのか、ES細胞との関係は何かなどが分かった。

一般的に言われている説明なのか、山中さんの作り出した説明なのかはわからないけれど、色々なところで、例えを使った説明があり、分かりやすくなっている。

たとえば、皮膚の細胞をiPS細胞にすると、細胞が初期化されるというのだけれど、その初期化というのは何かと言うと、もともと皮膚の細胞であっても、「体全体の作り方が分かる本一冊の情報を持っていて、皮膚の細胞になっているというのは、皮膚の作り方の部分にしおりが挟まっているだけ」で、iPS細胞にするということは、「そのしおりをとって、ほかの器官にもなれる細胞にすること」らしい。

↑文系の私の要約なので、正確には本を読んでください!!

  

また、iPS細胞によって、色々な臓器が作れるようになるということで、一般の人は、「移植するための臓器を作る」ということをまず真っ先に考えるけれど、もっと実用化が早いのは、iPS細胞を使ってさまざまな病気の臓器を作りだし、創薬の実験をすることだというのは、初耳で、勉強になった。

 

大切なのは「ビジョン」と「ハードワーク」

科学的な話以外に心に残ったのは、アメリカの研究所にいたときに所長に言われたという「VW」の話。その所長は「大切なのはVWだ」と言うのだけれど、そのVWとは、「ビジョン」と「ハードワーク」だという話。

 

日本人には「ハードワーク」をする人は多いけれど、ビジョンを持ってハードワークをしている人は少ない、という言葉は耳に痛いかもしれない。

その点、山中さんはノーベル賞の受賞が決まっても「これを再生医療に一日も早く生かせるようにしたい。それまでは、まだまだ道半ば」というようなことをコメントしていたけれど、自分の研究が人に役立っている明確なビジョンが描けているのだろうな。

 

今、自分が頑張っていることは、誰にどんな役に立つのか......?

その問いにすぐに答えられないようなら、一度立ち止まって、自分の進むべき方向をもう一度考えたほうがいいのかもしれない。

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた
山中 伸弥 緑 慎也

 

講談社 2012-10-11
売り上げランキング : 1399

Amazonで詳しく見る by G-Tools

-それ以外の本
-

© 2024 凪 Powered by AFFINGER5