かなり長時間かかったけれど、「白夜行」をようやく読み終えた。
やはり長いだけあって、力作!という感じ。
やっぱり長編、特にミステリーを書ける人は頭がいい。自分にはこういう頭の良さはないな、と半分あきらめのように思う。うらやましい。
でも、こういうのは才能というだけではなくて、やはり努力の結晶みたいなものなのだろうな。才能がなければできないけれど、才能があっても相当それを磨かないとできない。
主人公2人が視点人物にならない
内容は決して明るく楽しいものではなく、逆に、人はここまで冷酷に生きられるのか、と感じさせるものになっている。
様々な視点人物から事件を語りながらも、主人公2人が決して視点人物にならないところにまた、その人間離れした冷たさを感じさせる要因がある。
というか、東野さんはそこをねらってきちんと書いているはずで、それが上手いなぁ、と思う。こういう視点の置き方は勉強したい。
それから、同じ人物を書いても、視点人物が違うと、違う人物のように見えてきてしまう。そのぶれも上手く使っている。
視点の移動は長編でないとなかなか厳しいから、100枚程度のものしか書かない私にはあまり使えない技ではあるけれど、誰を視点人物にして、どういう角度で物事を見せるか、そこにはいつも細心の注意を払うべきだと思った。
ほのぼのとした小説とか、人の善良さを見て生きたい人には勧められない本だけれど、ミステリー、エンターテイメントとして、「先が気になる」読書をできる良書だと思うので、私はお勧めします!
白夜行 東野 圭吾
集英社 2002-05 |