久しぶりの乃南さんの作品を読んだ。
人の心にまっすぐ向き合っている作家
乃南さんもミステリー作家と分類されるけれど、 伊坂さんとはまた全く違い、もっと、人の心とかテーマにまっすぐ正面から向き合っている作家、という気がする。
今回の作品は特に、「思いがけない展開」になるわけではないけれど、それでも、最後まで読ませ
てしまう力がある。
そして、あぁ、分かるな、と思う。
無差別殺人などが多いこの時代へのメッセージなのだろう。
人の心をとかすのは、人との出会いでしかない、と。
とても温かい気持ちになれた。
心が疲れた人にもお薦め。
ただ、もうちょっと心が元気な人には、乃南さんの心理描写の傑作中の傑作、「風紋」と「晩鐘」を
読んでもらいたい!
犯罪被害者の家族のその後を追っていったもので、特に「ミステリー」的な要素はなく、ただ淡々と、
その登場人物のその後を描いているのだけれど、これが本当に上手い!
なんで人の気持ちをここまで想像して描けるのだろう、と感動する。
強くお薦め!
しゃぼん玉 (新潮文庫)
新潮社 2008-01-29 |