邦画

「ぐるりのこと」

6年ぶりの新作は傑作

橋口亮輔監督の6年ぶりの新作。

そのあいだ、鬱になっていたり、色々大変だったようだけれど、 そういうのを乗り越えてきたからこそ見えてきたものを描ききった のだろうな、という傑作だった。

 

夫婦の絆によって再生していく物語

生まれたばかりの子供を失った女性の心の痛みが中心なのだけれ ど、夫婦の絆によって「再生」していく物語。

夫役のリリー・フランキーさんが良かった。

 

やっぱり最後に支えとなるのは、「家族」なのだな、という気がし た。

ただ、支えてくれる人がいるということともう一つ大切なのは、 本当につらいとき、つらいと外にアピールすることなのかもしれない。

 

派手さはないけれど、心に迫ってきて、心の奥に眠らせていた痛みを じわっと昇華させてくれるような映画だった。

最後にはあたたかい気持ちになれる。

 

完成された世界

前の橋口監督の作品は、繊細で勢いがあるけれど、どこかばらばらな感じがあった。

でも、今回は、すごく完成されている世界だった。

作り物くささがなくて、あぁ、分かるって。

だから心が少し痛くもなるけれど、痛みを感じるからこそ、救いも感じられる。

 

今回は、様々な裁判のシーンを挿入することで、時代を映しだしたり、他の人の心の動きを取り込んだり、そういう「工夫」もされていたけれど、奇をてらわず、まっすぐ、テーマに向き合っている作品という感じがした。

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