映画(か行)

「化粧師」

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 3年くらい前の映画だけれど、「化粧師」を見た。

 大正時代の日本を舞台に、椎名桔平の演じる「化粧師(けわいし)」が様々な女性と出会い、化粧を施していくという映画だけれど、映像が美しい。カラフルなのだけれど、どこかしっとりとした情緒ある色遣いで、それが日本の伝統的な「美」に感じられる。椎名桔平が菅野美穂や池脇千鶴に化粧をするシーンは、静かに美しく、少しだけエロチックでもある気がする。色遣いと映像の美しさを味わいたいならおすすめの映画(でも、大画面で見たかったなぁという気はする)。

 ただ私はストーリー的にはちょっと……という気がしてしまった。石ノ森章太郎のコミックを、舞台を江戸から大正に変えて映画化したものらしいが、多分、いくつかの短い「読み切り」のストーリーをいくつか抜粋してつなげたのだろう。

 様々な女性が出てきては、彼女たちの問題がさささっと解決していってしまうので(なかには解決したと言えないものもあるけれど)、少し物足りなかった。
もう少し登場人物や問題を絞って密度を濃くしたら、映画全体のテンポもゆっくりになり、美しい映像をもっと堪能できるようになるだろうし、伝えたいことが伝わるようにもなり一石二鳥だったのでは、などと思った。

 でも化粧一つで女が変わるのは本当だと思う。心理学の実験でも、プロにメークをしてもらうと、メーク前よりメーク後の方がアンケートなどで積極的な回答が多くなるという結果が出ているらしい。意外と男はそのあたりが分かっていないのだけれど、メークの力はあなどれないのよ!

 私は個人的には、あまり外見にばかり気にかけている人というのが好きではないのだけれど、男のためではなくて自分のために自分を美しく保とうと努力している女性は素敵だと思う。

 以前、かづきれいこや藤原美智子のエッセイなどを読んだけれど、おもしろかった。一つのことに特化した人間の視点というのは興味深い。自分が考えもしないことを考え、普段気にしないものを見ている。そして「人は顔じゃない、は嘘」と言い切り、顔の傷などを隠すメークを研究しているかづきさんの生き方などはかっこいいと感じてしまう。

 化粧師は、ある意味、かづきさんの原点みたいな存在なのかもしれない。

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