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片山恭一「世界の中心で、愛をさけぶ」

ここまで話題になった本なら読んでおいても良いのではと思い、図書館で予約してみた。そして数ヶ月かけてようやく手元に届いた。

 

という経緯があるため、片山さんの作品では「空のレンズ」の方が先に順番が回ってきて、読んでみたのだけれど、数ページで挫折した。

予約したのにこんなに素早く挫折した本は初めてだった……。

数ページしか読んでいないので、内容はよく分からないが、ネット世界の話らしい。チャットなどの世界について描かれた作品で優れた作品というのは生まれていない気がする。

(唯一、ネット世界について書いたものでおもしろいと思ったのは、宮部みゆきの「R・P・G」。この視点はなかなかだなぁと思った)

 

すらすら読めるが……

そんなわけで、「世界……」の方も多分読めないだろうと思っていたが、その予想は良い方向に裏切られ、何の苦もなくすらすらと読めた。

ただすらすらと読みすすめられ、そのまま、すらすらと読み終わってしまった。

まぁそれなりにおもしろかったから「すらすら」読めたのだけれど、「泣けました」という宣伝に使われているコメントが、どのあたりについて言われているのか、私にはよく分からず、「へー、そうなんだ」「ふーん」と思っているうちに、小説が終わっていた……。

ここまで「余韻」が残らなかった長編小説は珍しいかもしれない。

普通読み終わったあとは数分間であっても、「はぁー」と何かを考え、ぼんやりする時間ができるんだけど……。

 

愛する人が死んでしまうのはもちろん悲しいことだと分かるのだけれどね。うーん、どうしてだろう。私が純粋な心を失ってしまったからなのだろうか?!

 

私は、こういう長々とした話を読むより、山田詠美の「本当に人を好きになったとき、その人が他の人に心うつりしてしまうことではなくて、ただ死んでしまうことだけを恐れる」という言葉(正確ではないです、ごめんなさい)を読んだときの方が、「あぁ、分かる」と思える。

 

まぁただ、『世界の中心で』は、「寒すぎる」という嫌悪感によって途中で読む気をそがれることはなかったし、その辺りはきちんと計算されていて良かった。

主人公の性格の設定が良かったのかも。この主人公のジョークのセンスは悪くない。

 

これを入り口に、文学の世界にもう一歩踏み込んで欲しい

でも、こういう作品がベストセラーになるんだよなぁ、ということは、やはり考えてしまうな。

まぁ売れるものを書けるというのはすごいことだし、片山さんはもともと純文学系の雑誌から出てきた人で、多分それでは食べていけなかったときに、こういうのを書いて一気にメジャーになれたということなのだろうから、多分、片山さんなりのすごい策略があったのだと思うので、それについてはやはり、「すごい」としか言えない。

片山さんのしていることや作品を否定する権利など、作家の入り口にも立てていない私には決してないだろう。

 

ただ私は、漠然とした「読者」に言いたい。

「この作品を入り口にして、小説の世界にもっと深く入ってきてください。あなたに何かを与えられる小説は、もっともっと世の中にはたくさんあります」と。

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