映画(た行)

デブラ・ウィンガーを探して

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 正直、インタビューをつなげただけの作品なんてつまらないだろうなと大して期待していなかったのだけれど、これは良かった! まぁ、男の人がこれを見て楽しめるのかは分からないけれど。

 内容は、40代の女優・ロザンナ・アークエットが、女優として、女としてこれからどう生きるべきかに迷い、尊敬する先輩女優・同世代女優に話を聞いて回る……というそれだけ。
 
 でも、一人一人の女優が、こんなことを日々感じていたのか、こんなことを悩んでいたのか、そういう普通の映画を見るだけでは決して触れられない「心」に触れられることができ、とても良かった。フィクションの作品のように、感動で涙が溢れてくるということはなかったのだけれど、その分、心の奥深いところに染みこんできて、色々考えさせられた。
 
 この映画に登場する女優は、全員が全員、正統派の美人ではないのだけれど、真剣に自分の人生について語る、女優としてプライドを持った女性の姿、まなざし、表情には、目が離せなくなってしまう魅力があり、心から「素敵だ」と思えた。あまり海外の俳優に詳しくない私には、ほとんどの女優が知らない人だったのだけれど、「あぁ、この人の出る作品を見てみたい」そう思わせるには充分だった。

 特に心に残ったのは、自身に満ちあふれ、すっと背筋を伸ばして自らを語っていたシャロン・ストーンが、二人の女優の名を挙げ、「(彼女の芝居を見ると)はぁ、こんなのは私には無理。って落ち込むの」と言っていたこと。

 完璧で、とても強く見える人が、ふっと弱い部分を見せる。そういう瞬間、私は自分自身のことを反省することが多い。自分は、成功している人・偉大な人を、自分とは全く違った「才能」とか「素質」のある人だと思ってみているんだな。でも、本当はみんな、不安や弱さも持った、人間なんだよな。それを忘れていたなって。

 とにかくこの映画を見て良かったなと思ったのは、みんな人生の選択で迷い、悩んでいるのだと実感できたこと。仕事・家族・子供・自分自身の表現……何か一つを選ぶ人もいれば、どうにかすべてをバランスよくこなしていきたいと思う人がいる。
 
 最近、朝日新聞のシリーズで、結婚せず、子供を持たない女性は「負け犬」か、という話が取り上げられている。私自身は、結婚はしているものの、子供はいないのに、大して働きもせず、小説家になるぞなんて言っている自分のことが、ダメ人間に思えている。
 
 毎朝、いい加減な格好でゴミを捨てに行くとき、スーツ姿のミセス(?)に出会ったり、買い物をして夕方帰ってきたとき、子供を自転車に乗せて必死に走っているお母さんたちを見ると、つい萎縮してしまう。すみません、私は子育てもしていないし、ちゃんとした仕事もしていませんって。

 でも、結婚した後も働いている人の話を聞くと、家事の分担で旦那さんともめていたり、自分の時間をもてなくてストレスたまっていたり、それはそれで大変そうだし(もちろん、上手くやっている人もいますが)、結婚していない友達は、「今、彼もいなくてさ」と嘆いていたりするし……人生いろいろだな。

 人それぞれ価値観があって、それぞれの人生がある。当たり前なんだけどね。ほんと、人と比べても仕方ない。自分の選択に後悔はしないこと、「今」の状況を肯定すること……そこからしか多分、なにも始まらない。

 でも、とにかく、この映画の中の40代・50代の女優はみんな素敵で、「年を取るのも悪くないよね」と思えたことが、一番良かったことかもしれない。私の知り合いの40代も、「若い頃よりいい具合に力が抜けて、40代っていいよ」と言っている。いい年の取り方をしたいな。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る