映画(た行)

「父と暮らせば」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 井上ひさしの同名の小説を、黒木和雄監督が映画化したもの。主演は宮沢りえと原田芳雄。

 原爆投下から三年経った広島を舞台に、生きのびた二十三歳の女性と、被爆し亡くなった父親の幽霊が語るという話。

 幽霊というと、現実的ではない感じがすると思うけれど、ものすごくリアリティのある映画だった。重い話なのだけれど、重くしすぎていないし、軽くしてしまってもいない。

 原爆投下のそのときを書くのではなく、「三年目」を描こうと思う、そのひらめきというか、視点みたいなものが「才能」なんだろうな。作品を作るからには、何を伝えたいかをしっかり考え、それを効果的に伝える工夫や努力をしなくては、ということを改めて思った。

 ストーリーは単調と言えば単調だけれど、世界がしっかりと作り上げられている感じがとても良かった。世界を提示できてしまえば、ちょっとくらい矛盾したことや都合のいい展開が起きても、観客(や読者)は納得してしまうものだものね。

 映画なのに、なぜか演劇を見に行った気分になった。それは宮沢りえと原田芳雄の存在感が、スクリーンから溢れるほどだったということかもしれない。二人の演技(特に宮沢りえ)を観るためだけでも、この映画、観る価値はある。

 戦争についてとか、核については、「絶対にいけない」というごくごく当たり前の意見しか私は持てていないので、こういう映画について深く語ることはできないけれど、観て良かったと思える映画でした!

追記:映画館のロビーに、核をなくす祈りを込めて鶴を折りましょうと、色紙がおかれていた。私も気合いを入れて折り始めたのだけれど、年輩の方がやすやすと折り終わり、ボックスに入れているのを横目に観ながら、相当、悪戦苦闘してしまいました。そして最後には、どうしても鶴の形にならなくなり、挫折して色紙を持って帰ってきてしまいました。ごめんなさいっ。でも、折りたいという気持ちはあったのです!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る