邦画

映画「素晴らしき世界」

西川美和監督の新作映画を観た。

観たのは一週間くらい前なのだけれど、うまく感想がまとまらず。

でも、観てしばらく経ってから、じわじわとくる。

そういうのが、実は本当にいい作品なのかもしれない。映画でも、小説でも、なんでも。

 

あらすじ

どんな映画かというと……

幼くして母に捨てられ、孤児院で育った男が、思春期にぐれて暴力団に入り、刑務所とシャバを行ったり来たりしながら過ごし、殺人犯になり、刑を終えて出所する。

その男の出所後の「日常」を描いたもの。

 

服役して社会に戻った人の多くは、社会に居場所を作れず、また罪を犯して、刑務所に戻るという話はよく聞く。

暴力団が絡むと、さらに「普通の人生」に戻るのは難しいのだということが感じられる作品だった。

 

この作品自体は、そういう厳しい現実から目をそらさず、でも、ところどころに救いがあり、バランスが良かった。

役所広司演じる三上を、人間としてきちんと愛し、支えようとする人が複数出てくる。

でも、だからこそ、私は個人的に最後に納得がいかず、しばらくもやもやした。

 

ただ見終わってしばらく経っても、なんとなくこの映画のこととか、役所広司の演じた三上のことがたまにふと頭をよぎり、あのラストだったからこそ、この余韻なのかな、とも思う。

 

初の原作あり映画

西川さんはいつも自分で脚本も書く。

今回も「脚本」は西川さんらしいけれど、原案として佐木隆三の「身分帳」と 書かれている。

原作ではなく、原案ということは、かなり内容は変わっているのか、どうなのか。

でも、「ゆれる」から続く、西川さんらしい世界観がこの映画にもしっかり現れていた。

 

深刻になりすぎず、ところどころに笑いはあったりするのだけれど、でも、全体的にずっと世界が灰色がかっている。

私の西川作品に対する感想。

 

でもこの「灰色がかった世界」はかなり私の好みで、新しい映画が公開されると、見に行ってしまう。

いつか自分の小説を西川さんに映画化してもらいたいな~。

というのが、密かな夢。

 

この映画もいいけれど、やっぱり「ゆれる」を最初に見たときの衝撃は大きかった。

見たことなければ、是非見て!

今回の役所さんの演技もいいけれど、「ゆれる」の香川さんもいい!


『素晴らしき世界』

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