たまたま足を運んだギャラリーでそこの絵や作品を気に入るということは時々あるけれど、こんな風にずっと名前を覚えていて、展示があると知ってわざわざまた出向いてしまうという情熱は私には珍しい。
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前回の出会いが大きかった
まぁ、それくらい、前回の小林さんの絵との出会いは衝撃的だった。こんなに人の作品が自分の内部に染みてくることがあるのだ、という気づき。
(そのときの記事 → 小林正人「星の絵の具」)
そのころ(一昨年の9月)、小説もちょっと行き詰まって何を書いたらいいか分からなくなっていたし、他にも色々悩むこともあり、けっこう消耗していたのだけれど、小林さんの絵に出会い、小林さんの文章を読み、あぁ、小説を書きたいと思った。
小林さん自身やその作品がそのままモデルになっているというわけではないけれど、そこで得た気持ちや感覚、エネルギーによって生まれた作品が一つある。それが昨日ちょうど、ある賞の一次選考を通ったと知った。
絵を見る環境が欲しい
今回の展示は小さい作品が多かった。でも、天使を感じさせる優しく繊細な線が印象的だった。
ただ!!
今回も前回もSHUGOARTSというギャラリーでの展示だったのだけれど、なぜあそこの人たちはあんなに無神経で、無愛想なんだろう。それはもう、悲しくなるほど。
前回行ったときから移転していたのだけれど、サイトの地図はいい加減だし、前回も今回も迷った......。
今回の場所は、運送会社の倉庫を通って、いかにも搬入用というエレベーターに乗って行くようなところ。まぁそれはいいんだけれど、わかりにくい場所にあるんだったら、もっと分かりやすく場所を説明してくれよと思うし、どうにかこうにか5階にたどり着いても、ギャラリーは扉が閉まっている。しかもどう開けたらいいのか分からない凝った作り。
とりあえずライトはついているのだから、入ってもいいのだろうかと、びくびくしながら入ると、無表情のお姉さんが座っている。目があったので、入ってもいいのでしょうかと聞こうとするが、なぜかつんっとそっぽを向かれる。なんなんだ~、と思いながらも、止められないのだから見てもいいということだろうと、こっちも開き直ることにする。
すると、絵を見ている5分くらいのあいだになぜかどんどん受付にギャラリーの関係者らしき人が集まってきて、5人ぐらいでにぎやかに話し始める。壁や天井はコンクリートだから、それがまぁよく響き渡る。ゆっくり絵を見る環境じゃないって......。
前回も受付の人が超無愛想だったし、途中で裏方っぽい格好をした男の人が入ってきて、2人でべらべら話し始めた。
いったい......。
色々なギャラリーに行ったことがあるが、こんなに嫌な思いをしたのは初めてだった。
入場料を払ってもいいから、もっといい環境で見たい!!
消化不良過ぎて東京都現代美術館へ
と、とっても消化不良だったので、そのまま歩いて東京都現代美術館に行く。
そこの常設展に小林さんの作品が一つあるという情報だったので。
一階に「一室」と言っていいような独立した空間があり、そこに一つ、大きめの作品が飾られていた。
本当、良かった。小林さんの作品は、この黄色とオレンジの色合いがいい。
そこにあるのは色の微妙な変化と、ぼんやりとした輪郭だけで、だから何の絵とは上手く説明できない。ただその分、直に感覚とか感情がわき起こってくる感じがする。
変な説明だけれど、小林さんの作品を見ているときの感情は、切ない恋心に近い。すごい憧れの人を前にして、もどかしいほど言葉が出てこない。でも、自分の方を向いてくれなくてもいいから、ただそばにいたい、と思ってしまうような感じ。
とりあえず、東京都現代美術館に企画展を見に行くことがあったら、是非常設展の一階、展示室2にある、オレンジ色の絵を見てください!!とだけ声高に叫んでおきます(笑)