少年犯罪を扱った映画。
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内容
15歳の少年が爆発物を作り、店に仕掛ける。それによって何の関係もない人間が何人も死傷する。
物語は、その少年が4年後、出所するところから始まる。
4年間で息子は更生した信じ、全力で少年を守ろうとする父親と、4年前の事件によって息子を喪った刑事がそれぞれ「父親」という立場から少年に対していく……というような話。
おかしい子供はもともとおかしい?
正直、救いのない話だった。
二人の「父親」の考えはよく描かれていたが、あまりにも「少年」が描かれていなかった。少年が「おかしい」ということしか。
多分、実際、大人達(私も含め)には少年が安易に人を殺すような事件を起こすその理由とか、心の動きが分からない。
でも、おかしい子供は環境のせいだけではなくて、もともとおかしいのだし、それは更生できるようなものでもない、というような描かれ方をされているのには疑問を感じた。
「父親」の視点に立てば共感できるところもある。
だから多分、「父親」である人が見れば、この映画は「すごく分かる」ということになるのだろうけれど。
ということで、表現者として考えたのは、下手に色々な視点を入れようとせず、ターゲットを決め、そのターゲットに共感してもらうということを目指した作品作りというのもあり得るのだなということ。
人は変われるのか?
そして、この社会に生きる一人の人間として思ったのは、最近「被害者側の権利」ということをよく言われているけれど、確かに加害者ばかりを守りすぎているのかもしれないな……ということ。
一教育者としては、子供の可能性というものを信じたいという気持ちはある。
でも、数多くの子供に接してきた結果、「この子はこのまま大人になってしまうのだろうか。きっと変われないのだろうな……」という限界を感じさせられることも実際にあった。
人は何歳になっても変わる可能性というのは秘めている。
でも、人を変えるには、相当すごい「出会い」というものがないといけないと思う。
四年間、規則正しい生活をさせ、労働するということを教えても、素地はそう簡単に変わらないだろう。……それに「出会い」があったとしても、それを受け止めるだけの感性がないことには、そもそもどうにもならないのかもしれない。
たとえ更生して社会に出てきても、社会の目は厳しいだろうし……。
色々考えさせられたという意味では悪い映画ではなかった。