「スラムダンク」の井上先生が描いている車椅子バスケ漫画。
まだ完結していないのだけれど、最新刊の15巻まで読み終えた!
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スポーツ漫画というよりヒューマンドラマ
「リアル」は、「スラムダンク」のような爽やかな青春スポーツ漫画ではない。スポーツを題材にした「ヒューマンドラマ」という感じ。
そして、普段私が読む本や見る映画はこっちのタイプだなと、自分の生活にしっくりくる感じだった(笑)
重い気持ちになるけど、好きな漫画は「ブラックジャックによろしく」とか「三月のライオン」とかなんだよね。
と、脱線したけど、とても良質な漫画だと思った。
3軸のストーリー
ストーリーは3つの軸で展開する。
バイク事故を起こし、退学になった18歳の元バスケ部員(野宮)が未来の見えないフリーター生活をしながら、未来の光を探し、もがく話。
(多分、野宮が主人公なんだけど、バイク事故を起こし“彼女”を車椅子にするも、自分は健常者。車椅子バスケの漫画の主人公は、車椅子なのだと思っていたから、びっくり!)
退学になった野宮が知り合った車椅子バスケ選手の話。
(上手いのだけれど、熱量が高すぎて、他のメンバーとのスタンスの違いなどに苦しむ)
野宮と同じ高校のバスケ部だった人(高橋)が、自転車事故で胸から下が動かなくなり、人生に絶望したところから、光を見出していく話。
普通「車椅子バスケ漫画」と言われたら、3つ目のストーリーだけで展開させようとするだろうと思うのだけど、3つの軸があるから、とても立体的になっている。
「高橋」くんの話が一番ぐっとくる
そして、3つ目の話も、出てくるキャラが濃いから、“普通の話”にはなっていないのが、すごい。
実際、私は3つ目の「高橋」くんの話が一番ぐっときて好き。
勉強もスポーツもできて、自分は「Aランク」だと信じ、人を「こいつはEランクだ」などと見下してきたのに、体が動かなくなり、「自分がEランクになってしまった」と絶望する。
でもそこに、全然タイプの違うリハビリ仲間が現れ、お互いに触発し合って変化していく。
高橋くんも、気づくと人にランク付けをする思考をやめている。
リハビリ仲間の一人がプロレスの悪役なんだけど、その人のキャラが特にいい。
言葉と生き様が素敵で、そしてパワーがある。
高橋くんでなくても、すごい励まされる。
漫画はストーリーよりもキャラが大事と言われるけれど、「リアル」は、どちらもバランス良くいいと思う。
最新刊の15巻が出たのは「6年ぶり」ということで、16巻はいつ出るのか?「リアル」は完結するのか?というところは分からないけれど、次巻が出るまでは、心の中でキャラの成長を想像し、味わっておこう
※追記:2024年8月 16巻発売!
井上 雄彦
『リアル1巻』