北アメリカ大陸にあるイエローストーン、グランドティトン、ザイオンなどの国立公園で撮ったモノクロ写真の展示。
Contents
壮大な風景を前にして泣ける感覚
この写真展に行く前にもう一つ写真展に行ったのだけれど、そちらは日本のいろいろな風景をスナップ的に撮ったもので、一枚一枚に撮影地やコメント(それも写真を見たら分かるような)が書かれていて、ちょっと興ざめだったのだけれど、こっちの写真展に行って、「あぁ、写真っていいなぁ」と強く思った。
壮大な風景を前にすると人は理由もなく泣けてくると言う。多分それは、自分のちっぽけさを感じ、そのちっぽけな存在を包み込んでもらえるような気がして、なのだろう。
北尾さんの写真を見ていたら、それに近い感覚を味わった。心の中が熱くなって、泣きたくなるような感覚。少し苛々していた感覚が、すっと癒された気がした。
目の前にあるものをまっすぐ撮ること
多分それは、被写体(風景)の力。
でも、そういう風景の力を、その場所に行ったこともない人に正確に届けているのは、写真の力だ。
私は話せなかったけれど、北尾さん本人はギャラリーの受付にいて、お客さんと話したりしていた(知り合いではない純粋なお客さんらしい)。
経歴を見ると70歳近いらしいが、お客さんと話している様子を見ている限りでは、50代と言われても信じてしまうくらいエネルギッシュで飾らない感じの人だった。
あぁ、こういう謙虚で飾らない人だから、こういう写真が撮れるのだと、なんだかそのときそう思った。
目の前にあるものをゆがませず、ただまっすぐに撮り、人に伝えるということ、それは本当はとても難しいことだ。
でも、若いうちは多分みんな、変な技巧に走ったり、個性を出そうとしすぎてしまう。それが写真を撮る意味だと信じて。
でも、謙虚に被写体に向き合う姿勢の方が、自分を押し出すことより大切だったりするのかもしれない。
そんなことを北尾さんの写真から学んだ。
※写真はニコンのサイトから拝借しました