「水の繭」と似たような感じだったかな。どちらかというと「水の繭」の方がいいかどうか、って感じ。
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夢なのか現実なのか分からない世界観
人物の書き方とか世界が全部とても表面的で、リアリティーがなく、夢なのか現実なのか分からないまま話が始まり、終わっていく肌触りの本。
それを「人物が書けていない」とか「世界を描ききれていない」と言うこともできるだろうけれど、こういう世界が遠いという感覚が、現代の若い人たち(私もこの中に入る(笑))の感覚には合うかもしれない。
評価は人それぞれだろうという感じかな。
なぜ主人公が自分を「チョコリエッタ」と名乗ろうとするのか、猫になりたいと思うのか、そのあたりの感覚とか、フェリーニの映画を語るところとか、ところどころにいいなと想うところがあるし、上に書いたような全体的な「遠さ」とか「希薄さ」が心地良いといえば心地いい。
納得感や読後感も必要?
ただ、私が言えることではないけれど、もうちょっと「ストーリー」と言われるものがあればもっと心地よく納得して読み終われるのになぁという気がした。
やっぱり読者が納得できる落としどころを作るというのは大切。途中が良くても、読後感によい余韻がないと、その作家の次の作品を読もうと思えないことは多いから。
ただアマゾンでこの人の作品を検索すると、私の読んだ2冊は星が2,3個なのに、他には5つのものが結構あった……。選択をちょっと誤ったというのはあるかもしれない。もう一冊ぐらいまた読んでみようかなと思う。
まぁそういう気持ちになれるのは、大島さんの文章は読みやすいから。
やっぱり文章が読みやすいって強み。もっと文章力を磨こう。
読みやすいけれど、自分らしさのきちんと表れる文体を探していこうと強く思った。