カルチャースクールで長年教えている人の書いた、「小説の書き方」というよりは、「上手な作文の書き方」とも言えるような本だった。
Contents
文章力を見直すためにはいい
正直、どこででも言われているようなことの繰り返しで、新しい発見はほとんどなかったけれど、「こういうことを言いたくなるような文章を書いている人は、確かに結構多いんだよなぁ。
特にカルチャースクールにはうじゃうじゃいるのだろうなぁ」なんて思いながら読んだ。
さすがにずっと素人に教え続けていた人だけあって、説明は分かりやすく親切。例のひきかたにもセンスがある。
「文章は上手いという自信がある」という人は敢えて読まなくていいけれど、プロットの立て方とか、発想とか、個性とか、そういうところ以前(?)でつまづいている人にはお勧め。
生意気な言い方をするけれど、地方の文学賞に何度か応募しても選考にひっかからないという感じだったら、まず文章力を疑った方がいいのでは……と個人的には思う。
そして、文章力を見直すにはこの本はなかなかいい。
「擬音語・擬声語は使うな」について
あとこの本を読んで一つ「あぁ、なるほど!」とようやく理解できたことがあった。
それは「擬音語・擬声語は使うな」ということについて。
今までこれは三田誠広先生の授業からはじまり、ことあるごとに言われてきたけれど、ただ擬音語・擬声語を使うと、幼稚な文章になるからいけないというだけなのだとばかり思っていた。だから、擬音語・擬声語を使いたくなっても、なくても問題がないときには、ただそれを削る作業をしていた。
でも、そういうことじゃなかったのね!
「擬声語や擬態語ですませてしまった部分をていねいに書くことによって、文章に深みが出てきますし、文章の量も大幅に増えます」
なるほど。削るだけじゃ意味がなかったのだ。その分、自分の言葉で書けってことなのね、と、初めて分かりました。……多分、みんな分かっていると思うんだけれど……私は初めて知った(笑)
(ただまぁ、これは純文学的な思考。エンターテイメントを書いている人は、描写で長々と文章を使うのは極力避けた方がいいと思う)