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恩田陸「ネバーランド」

「夜のピクニック」が本屋大賞になり、今話題の恩田さんの本を初めて読んでみた。

 
恩田さんを紹介する文章にはいつも「幅広いジャンルを......」と書かれているから、多分恩田さんという作家を理解するには何冊も本を読まないと分からないのだろうけれど、まぁ、まずは第一歩。

ストーリー

これは、寮に冬休みも残った3人+1人の男子高校生の物語。

それぞれが家に帰れない家庭の事情を抱えていて、それをちょっとしたきっかけで話し始める、という内容。

 

その語る内容自体は重いけれど、本自体のテイストはそれなりに爽やかで、「青春小説」という感じがする。

この一冊を読んで恩田さんに持ったイメージを一言でいうなら、「読者を楽しませる力をもった作家」というふうになるだろうか。

正直少し話が作り物っぽすぎて(いかにも女性が想像した理想の男の子像なのよね......。だから少女マンガかなにかを読んでいる気分になる)、文学というには薄い感じがするのだけれど、こういうのがエンターテイメントなのかもしれないな、と学ぶところも多かった。

 

あとがきが面白い

それから「あとがき」がちょっとおもしろかった。

「(寮生活を送っていた男性に話を聞いたが)あまりにも美しくない実体に、参考にはしないことにした」

「書く前に4人の少年達の性格づけをしていたつもりだったのに、4人を完全に把握できたなと思ったのは四日目を書いているときだった」

「この小説は、私にとって個人的に重要な小説だと思っている。私が将来、もう少し成長した時に書きたい小説の原型になりそうな予感がする。この小説を直している時、もしかすると小説を書くことは面白いのかもしれない、と初めてほんの一瞬ちらっと感じた」

普通あとがきには書かないよなぁと感じられる正直な思いを書いているのを読んだとき、なんとなくこの作家は信頼できる人かもしれない、なんて思ったりした。

 

確かに4人少年はそれぞれいいものを持っていそうなのに、キャラが結構かぶっていて、それぞれを把握しづらい。

全員あなたの好みなんでしょ?!と言いたくなるくらい......。でも、それを作者にはっきり言われちゃうとね......。

 

このあとがきを読んで「そんな中途半端な形のものを世に出してプロとしてどうなんだ」と思う人もいるかもしれないけれど、私は逆にあっぱれだなと、許せてしまった(笑)

 

とりあえず恩田さん、ちょっと気になったので、また読んでみたいなと思う。

デビュー作も読みたいけれど、ホラーは苦手なので、微妙だなぁ。

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