15歳で小学館文庫小説賞を獲り、一時期騒がれていた子の作品を読んでみた。
最近、そういう若い子の作品を読む機会が多いけれど(やっぱり話題になるから気になって手に取っちゃうのかな)、「???」と思っても、それは世代が違って理解できないんだとか、色々冷静に考えて、できるだけいいところを探すように努力している。
でも、さすがにこれは、誉める気になれなかった。どこがいいのかさっぱり分からない。
Contents
勘違いの恋
なんていうんだろう......一方的すぎて引く。まぁ、私はそもそも、恋愛における勘違いみたいなものに冷たい。そんな、世の中、あんたを中心に回っているわけじゃないのよ......と、つっこみをいれてあげたくなる。
まぁ、この作者は子どもだということで、まだ救いがあるのだけれど、一方的に人を想って、運命の人だと何の根拠もなく突っ走り、運命の人だったわりに、親しくなるわけでもなく死んでしまうのは......どうなんでしょう。
ダメだ......本当に、私にはこの良さが分からない。
文体とか書き方は、確かに若い子らしい、透明感があって、それはいいかなという気はする。
ただその分、浅いし、こういう作品においては描写が命の気がするけれど、感情ばかり追うあまり、シーンの描写の比率が下がっているようにも感じられる。相手の男の人の人格もまったく見えてこない。
歌詞の言葉がそのまま……
あと一番理解できないのは、取材で堂々と「ポルノグラフィティが好きで、影響を受けました」と言っていたけれど、その歌詞をそのまま使っていたりすること。
私もポルノは好きで、一時期ベストアルバムを流し続けていたので、結構歌詞も覚えているのだけれど、それがまったく同じ形で出てくると、なんかそこで引いてしまう。作り物くささを感じて。
たまたま選考委員や下読みの人がポルノをあまり知らなかったのだろうな......。受賞は最終的には「運」ということか......。
ただ、まぁ、本当に、この作品を認める人もいるのだろうから、最終的には私の「個人的な意見」です。
あなたへ
小学館 2005-04 |