大分前に読み始めたのですが、バタバタしていてようやく読み終わりました。
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映画化
これは最近、映画化された作品ですね。
市川さんの作品は「いま会いに行きます」が一番有名だと思いますが、どの作品にも、柔らかい雰囲気があって好きですね。「恋愛写真」も良かったです。
(これも同名の映画がありますが、市川さんの作品が映画化されたのではなく、映画を見た市川さんが刺激を受けて小説を書いた、ということのようです。中身はもう、まったく別物。私は絶対小説の方がいいと思います!)
ほっとする世界
登場人物(特に主人公)はいつも、ちょっとさえない、不器用な男の人で、恋愛経験もあまりないのだけれど、その分、愛した一人の人をぼくとつに想い続ける。その純真さが、今の小説・映画のなかではすごい新鮮に思えたりする。
みんな、不器用だけれど、誠実にまっすぐ生きていて、ほっとする世界。
大きな成功をつかむこととか、要領よく生きることとか、そういうのもいいけれど、「幸せ」ってもっと、身近に、当たり前のもののような顔をしてあるものなんじゃないの?みたいな問いかけを感じる。
少しずつファンタジー世界へ
あと、始まりは普通の日常をつづったストーリーのように見えるけれど、いつも少しずつ「異世界」が入り込んできて、最後の方はファンタジーっぽくなるのも市川さんの作品の特徴かも。
でも、出てくる人物がみんな、ちょっと空想好きな雰囲気の、内的世界を持っているような人たちだというのと、市川さんの文体が不思議な印象を与える比喩などを多用した、ユーモアのある、いい意味で地に足が着いていないようなふんわりしたものなので、違和感なくその世界を受け入れることができる。
まぁ、好き嫌いは分かれる作家かもしれないけれど、私は好きだな。
なんとなく「成功するぞ!」「セレブになるぞ!」みたいな世界に疲れたら、手に取ってみてください(笑)
そのときは彼によろしく (小学館文庫)
小学館 2007-04-06 |