空いた時間にAmazonPrimeで何か見ようと探していて、たまたま見つけた映画。
でも、すごく好みで、いい映画だった!
こういう「良質な作品」と言いたくなってしまう作品、好き!
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「おと な り」
このタイトル、「お隣」と「音鳴り」とが掛かっている。
古いアパートの右と左に住む男女が、「ほとんど筒抜け状態」の相手の生活音を聞きながら、過ごしていく物語。
ちょっとした事件も起こるけれど、基本的には「日常」が淡々と描かれ、そのなかのコーヒー豆を挽く音だとか、フランス語会話の練習をする声だとか、そんな音だけが相手の空間にそっと忍び込んでいく。
そしてそれは、空間にしのびこむだけではなく、いつの間にか相手の心にもしのびこみ、顔を見たこともない、どんな人なのかも知らない相手に、お互いちょっとした関心を寄せ始める。
その、無理のないゆったりとした物語の運びと、静かな空気感・世界観がとても良かった。
「古いアパート」というのも、確かに隣の音が筒抜けだろうなという古さを感じさせながらも、まるでフランスのアパルトマンの一室のようなお洒落さ。
(男性はカメラマン、女性はフラワーデザイナーで、二人とも美的センスに優れ、インテリアがお洒落というのもある)
心地よい空気感と展開のバランス
大きな出来事としては、「主人公が撮影を担当している大物モデルの失踪」という、男性側だけに起こる物語があり、
女性側には「ちょっとした恋愛の芽みたいなもの」と、同じ花屋で働く同僚の恋の進展という、小さな出来事が2つある。
そして、女性は少ししたらフランス留学をすることが決まっていて、そこに向けて、動いている。
物語の展開としては、それくらいしかない。
でも、何もない日常の、心地よい空気だけ感じられる時間に、ちょうどいい加減で「物語」がきちんと組み込まれている感じ。
こういうバランス、好きだなぁと思う。
(私が褒める作品は、大抵、ここのバランスが取れているもの(笑))
最後は結構急激に話が進むのだけれど、それも、淡々と、でも着実に積み重ねた時間があるから、そんな突飛な感じはしない。
(小説家志望の男性のキャラクター設定だけ、ちょっとひっかかったけど💦 あんなひねくれた性格の人が、あんないい言葉いうかなぁ)
ラストからエンディングロールへのつなぎも洒落ていて、うなった。
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『おと な り』