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『おおかみこどもの雪と雨』

以前から気になっていたけれど、ようやく見れた。

 

「おおかみおとこ」だと知らず普通に恋愛した女性が、相手から「ニホンオオカミの末裔だ」と知らされるも引かず、子供を産み、育てる話。

まとめると、なんかすごい話だな。

 

静かに進むシーン

でも「おおかみおとこ」はいわゆる狼男ではなく、狼に変身することもできる結構普通の、物静かな人間だし、主人公の女性と子供が暮らすのは普通の人間社会だし、奇抜な設定の割に、描かれているのは日常の風景で、物語も淡々と進む。

ジブリの世界に近い。

それが良かった。

 

けっこう大事なシーンが、台詞なしで、アニメーションと音楽だけで進行するところもいくつかあったのだけれど(登場人物の口は動いているけれど、台詞はない、みたいな)、こういう静かな見せ方、好きだなぁ。

私の一押し映画『言の葉の庭』もそういう、描写と音楽だけ、みたいなシーンが多くて好きなのだけれど、そういう時間って、見ていると瞑想状態みたいになる。

こういう静けさは小説ではどうやったら作り出せるのだろうと、いつも考えちゃう。

単純に考えると、描写を増やすということなのだろうけれど、小説は結局すべてが言葉だから、雄弁になりすぎる。

 

『おおかみこどもの雨と雪』は、2時間弱のなかで、男女の出会い→雨の誕生→男の死→雪の誕生→田舎への引っ越し→小学校入学→二人の子供の自立

と、かなりの要素が詰め込まれている。

それでも、ゆったりとした時間の流れや、静けさが作品のなかに感じられるって、すごいなと思う。

 

中立的な視点

ラストは「ええっ、そうなるのか」という感じがした。

ラストがというより、途中から、そういう流れになっていくのか、と。

ネタばれしたくないので、あまり書かないけれど、でも、男の子の成長ってそうなのかもしれないな、とも思った。

子供は急に成長、変化する。

その急激な成長に親の方がついていけなかったりもするけれど、不安を感じながらも見守る母親の描き方なども良かった。

一番大きな設定はSF的なのだけれど、細かい設定やキャラクターや描写は一つ一つとても丁寧でリアル。

だからこそ、フィクション世界は成立するっていうことなのかな。

 

私がお勧めするまでもなく名作なので、まだ見てない方は是非。

 

『おおかみこどもの雨と雪』

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