映画(か行)

「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」

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 「イノセンス」を見に行こうと旦那さんと約束をしチケットを買ってから、これが「続編」であることを知った……。やはり一作目を見ていないと、ただでさえ難しい内容だからつらいのではと言われ、ビデオを借りて見る(これがかなり人気で、いつも貸し出し中……。随分待った)。
 
 知らない人のために説明するとこれは、士郎正宗の原作を押井守が監督して作ったアニメ映画。

 正直、なかなか難解な作品で、すべてを理解できた自信はないのだけれど(私はそもそも感覚的に物事を捉える方なので、論理性には自信がない)、観て良かったと思える作品ではあった。テーマもいいけれど、完全なフィクションの世界ができあがっていて、その世界観が浸っていて心地よいものだった。

 内容的には、「西暦2029年――企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなるほど情報化されていない近未来」の話。主人公はコンピュータ犯罪を追う攻殻機動隊の女性。彼女は脳だけは人間だから、ロボットではないのだけれど、体のパーツはすべて人工のものでできている。周りの人もほとんど同じで、頭の中に「脳」が残っているかどうかで、人とロボットの境界線が引かれている。そして、人もロボットも、パソコンではなく自分の体を「ネット」につなぎ、交信している。 彼女は「人形使い」と言われる、人間の「脳」をハッキングする犯罪者を追いかけていき、最後はその「彼」と向き合う……というのがあらすじ。

 これは今から10年近く前に作られたものらしいけれど、内容が古くなっていないのに、まず驚く。2029年、本当にこんな世界ができあがっているのではないかとリアルに感じられる。

 現在、ネットでの情報交換やコミュニケーションは日々盛んになっている。私もメールを書かない日などないのではないかというくらい、当たり前のようにその世界に組み込まれている。「ネット」は本当に便利なものだし、多分、一度それを手に入れた人間はなかなかそれを手放せないだろう。でも、「ネット」を通したやりとりが、人間の人間らしい部分を奪い去っているということを忘れてはいけないのではないかと思う。

 一時期チャットにはまっていたこともあったけれど、その時は次第に「人」を相手にしていることを忘れ、相手の状況や感情を段々と想像できなくなり、不用意に人を傷つけたり、逆に傷つけられたりしていた。相当優れた「想像力」の持ち主以外は、人との関わりは、ネットを通してではなく、向き合ってした方がいい。……自分がチャットをやめ、以前より「ネット」から離れているのは、そういう危険性を感じ始めてからかもしれない。

 この作品が、そういう「警告」をテーマにしているのかは分からないのだけれど、便利になった社会の行く末を想像すると、そこに「人間」の影は薄い。

 また、この作品の中では、「脳」をハッキングされ、自分の中に偽物の記憶を植え付けられてしまった「人間」が登場する。脳をハッキングされてしまうと、元の状態に戻すことはほぼ不可能らしい。

 そして最後の方、人とロボットを区別していた「脳」(魂なのだろうか。映画ではそれを「GHOST」と呼んでいる)の存在まで次第に怪しくなってくる。もしかしたら「GHOST」も人工的に作れるものかもしれない……と。

 人は「アトム」のような、人の心を持ったロボットを望む。でも、ロボットが当たり前のように存在する世界になったとき、そこにいるのは「人の心を持ったロボット」ではなく、「ロボットみたいな心しかない人間」なのかもしれない。

 こういう緻密で理知的な作品を作りたいと思う一方で、もっと人間として自分の体を大切にし、人としっかり会って話し、美しい光景に感動するような人間らしい心を鍛えていきたいなどとも思った。

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