久しぶりに川上弘美を読んだ。
「蛇を踏む」はちょっと読んで挫折し、その後、手に取ることもなかったけれど、人に勧められ2年ほど前手に取ってみて、けっこうはまった。
ただそうは言っても、まだ読むのは3,4作目くらいかな。
Contents
デビュー作含む短編集
これは川上さんのデビュー作を含む短編集。
こんな作品でデビューしていたんだ、と驚くような、なるほどと納得するような。
表題作「神様」はとっても素敵な物語だった。
確かに「文学」なんだけれど、ファンタジックな「物語」でもあり、あったかい。
一言でいうと「近所に住むくまとピクニックに行く話」なので。
それ以外の話も、ちょっとずつ幻想的な部分があって、でも不思議とその存在に違和感がなくて、素敵。
不幸をまきちらす「文学」のなかにあって、この優しさ、明るさ、あたたかさには救われる。
試験勉強の疲れも癒された、という感じ。
短いけれど、心に何か残してくれる
あと「星の光は昔の光」は男の子の言葉がきれいだった。
「離さない」はけっこうテーマを感じたけれど、最後の最後に思っていたのと書かれていたのはもしかしたら違う主張だったのかもしれないという気づきを与えられた感じがした。
「春立つ」はなんか分かるなぁ、という気がした。
短い話が多いけれど、それぞれきちんと心に何かを残してくれる。
一言でいっちゃえば、才能! って感じかなぁ。
さすが川上弘美だ。
ってことで、おすすめ!
神様 (中公文庫)
中央公論新社 2001-10 |