過去Diary

自転車に乗って

 昨日は自転車に乗って、家の近くを散策した。今週は休みが一日になって、何をまずしようか、と思ったけれど、やっぱりどこかのんびりできる場所を一人で探すことが、一番私にとって大切なことなのかもしれない。一週間に一度、そうやって自分の呼吸を取り戻せれば、一週間またどうにか頑張っていかれる。
 
 昨日は雨が降るという予報だった。夕方出掛けようとしたとき、もうすでに小雨が降り始めていたけれど、仕事を始めてから自然と、あきらめるということが多くなってきてしまったから、あきらめないですむことは極力あきらめたくなくて、雨に降られること覚悟で、自転車を走らせた。

 都心に出るのとは逆の、千葉の方向に走っていく。普段ほとんど使わない道だから、ちょっと細い道にはいるだけで、新しい景色をすぐに発見できる。こういう楽しみを、ずっと取って置いて良かったな、と素直に思える。今まで知らなかったことを残念に思うより、今この風景に出会えたことに感謝する。全ての出会い。遅すぎるなんて事はない。だって今こうやって巡り会えたのだから、今がきっと一番で会うにふさわしいときだったのだ。色々なこと。人との出会いとか、できるだけそう考えられるようにしたいと思っている。

 自転車で走る機会は大人になるにつれてどんどん減っていく。でも、こうやって自分で機会を作ってあげるのもいい。 自転車で走るように、生きていかれたらいい、そんなことを思った。自転車で走っていると、下り坂の気持ちよさ、上り坂の苦しさを、いつもの倍ぐらい感じるから。

 新人の研修では、たとえ話ではあるけれど、下り坂と上り坂、どちらを選ぶか迷ったら、上り坂を選びなさい、と習った。
 
 でも別にそんなの、気分でいいと思う。思い切りその時の位置エネルギーに任せて、風を受けて気持ちよく走るものいい。だってそのエネルギーは、どこかで自分が一生懸命汗水たらして坂を上ってきた報酬だから。それを楽しむのは当然の権利だ。
 
 坂を下っているときは、次に上るときのことなんか考えずに、ただその時を楽しみたい。ブレーキなんかかけてしまわないで、ただ自分の蓄えてきた力の生み出す風を満喫する。

 そして上り坂が目の前に見えてきたときは、力一杯ペダルを踏もう。落ちていってしまいそうになる自分との戦いも、それはそれでおもしろい。そして坂を上りきったとき、目の前に開ける光景も楽しみだ。
 
 昨日はたまたま初めて見る公園について、その坂を上ったら、「風の広場」があった。東京の中だから、大した公園ではないけれど、白つめくさが咲きほこり、大きな犬が4匹じゃれていて、向こうの方には風でさざ波が立ったように水面を震わせた川が見えた。何だか嬉しかった。でもそれは一生懸命に上ってきたから感じられる感動だったのかもしれない。

 そんなふうに、生きたいな、と思う。

 自転車をこぐように、滑らかに、いつも自分の置かれた場所の傾斜に素直に走っていく生き方。

 昨日は結局、覚悟していた通り雨が降った。

 もう全身びしょぬれ……。まさかあんなに強い雨が降るとは……。ついでに、気の向くまま走っていたから帰り方はもうすでに分からなくなっているわ、やっと地図を見つけたら、ものすごい遠くに来ているらしいわ、で、結局自転車は歩道橋の下に捨てて電車で帰ってきてしまった……。

 今日も取りに行かれなかったけど、待っていてくれぇ(;_;)( ;_)( ;)( )(; )(_; )(;_;)(T-T)うるうる~ って気分です。

 でも、びしょぬれになっても、とても気持ちが良かった。いつも風を感じて生きていたい。

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