過去Diary

文章の力

 久しぶりに、小説を書きたくなった。

 それは自分の言葉を信じたいという気持ちが起こってきたからだろうか? それとも、直に人に伝える言葉に、何だか飽き飽きしてしまったからだろうか? どうしてこんなにも伝えられないのだろう。どうしてこんなにも、伝わってこないのだろう。その言葉には、優しさがきちんと詰まっていると分かっているはずなのに、どうしてあなたの心はそんなにも遠いのでしょうか?

 仕事は楽しい。今のところ。

 作文の通信教材などの作成を最近はしている。小学生や中学生に書かせる作文のテーマを勝手に考えて、こういう視点で作文を書いてみるといいよね、というヒントを書いたりする。
 
 私はバイトで中学生を教えることが多かったせいか、小学生より中学生のテーマの方が考えやすい。
 
 例えば「後悔していること」というテーマを作ったりする。
 
「「あの時ああしていれば良かったな」と思うだけでは、何も変わりませんが、「あの時ああしていれば良かった。次こういうことがあったら、今度はこうしよう」と思えば、きっと一つ成長できると思います。」

 などという、「メッセージ」を作っている。
 
 受け取る側には、どういう人が作っているか全く分からない通信教材だけれど、そのテーマを見つめることで、その子が少しだけ私のメッセージを受け取ってくれたら嬉しいな、と思いながら、仕事をしている。

 6月から、作文の教室も少しずつ出して行くらしい。来週はビラまきなどもする。そのできてきたビラの言葉が、私のお気に入りだ。

「一歩。
話せなかったら、黙っていればいい。
悲しかったら、泣いてみればいい。
とにかく嬉しかったなら、
ニッコリするんだね。
それがホントの気持だから。
ホントの気持が大切だから……。
自分のホントの気持に
気がついてほしい。
作文クラブの第一歩、です。」

「二歩。
ボクがいっぱい喋るのは、
伝えたい気持ちがいっぱいあるから。
ボクがじっと黙ってしまうのは、
分かってほしい気持がありすぎるから。
ボクの気持ちを、届けたいなあ……。
素直に自分の気持ちを表現できる
心の力を育ててほしい。
作文クラブの2歩目、です。」

「三歩。
黙って咲いている花。黙って枯れていく花。
だけど花にも心があるのかもしれない。
ただ彼らには気持を伝える方法がないから、
私たちには分からない。
だからこそ、そんな花たちを大切にしたい……。
人の気持ちを感じてほしい。
作文クラブの三歩目、です。」

 コピーライターと呼ばれる人に作ってもらった広告だから、やっぱり、そういう人の言葉のセンスは違うよな…と感心してしまう。でも、この言葉を読んで、改めて、文章を書くということがどういうことか、考えさせられたりした。

「ボクがじっと黙ってしまうのは、分かってほしい気持がありすぎるから」

 何だかこの一文を読んだら、泣きたくなった。
 沈黙は、伝わるのだろうか?

 私は人間の努力も信じているけど、運命というものも信じている。

 仕事をしながらも、文章を書くことに関わることができること、言葉を人に伝えると言うことがどういうことか、自分の言葉がどれだけの力を持てるか考えていかれることに、感謝。小説をまた、書いていかれそうだ。

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