映画(は行)

「ブラザーフッド」

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 深みのある映画だった。戦争のリアルで激しい描写を味わいたいという人も、微妙な心の動きを味わい感動したいという人もどちらも満足できるであろう作品。

 私自身はあまりアクション系の映画は好きではないので、戦争のシーンが充実していることを評価のポイントにする気はないのだけれど、この映画では戦争の描写の激しさ、残酷さ、グロテスクさが作品全体にリアリティと重みを与えていたように思えた。だから、思わず目を覆いたくなるようなシーンもあったけれど、それも含めて、「良くできた作品だった」と感じた。

 でもやはり良かったのは兄弟の関係と、二人の心の変化、成長がしっかり描かれていたこと。弟のことばかり考えていた兄も軍隊の中で認められるにつれ、次第に人の評価に踊らされたり、人としての心を見失っていく。そして人としておかしな行動を取り始める。それを見ていると、「なんであんなにいい人が」と思うけれど、それと同時に、「戦争は確かにこれだけ人を変えるかもしれない」と納得させられてしまう。そして悲しく、つらくなる。

 一方の弟は、初めはただ兄をひたすら信じ、兄に頼りきりだったのだけれど、兄に反発することを通してたくましく成長していく。はじめ二人が仲の良い兄弟だった設定もいいのだけれど、男兄弟というのはもっと相手を牽制し合うものなのではないかという気がしていたから、兄と弟が衝突していくところの方に私はリアリティを感じた。本当に人と人が分かり合える、尊敬しあえるようになるためには、一度衝突することが必要なのかもしれない。特に血のつながった関係の場合。そして同性の場合は。

 この作品の中で起こる一つ一つの事件や提示される一つ一つのエピソードが二人の変化・成長のしっかりとした裏付けになっていて、原作なのか脚本なのか分からないけれど、ストーリー・設定の部分での綿密さにまず感心した。

 それから、その世界のリアリティ、二人の存在を演じきった役者の力もすごいものだと思った。ウォンビンはキムタクに似ているが、顔立ちがかわいいだけじゃない!

  そして設定と役者の存在感をより強めたのが、映像の力だった気がする。戦争のグロテスクなシーンを丁寧に撮っていたこと、映像が登場人物の心情描写にもなっていたこと、歴史的な背景もしっかりとふまえた撮影場所を選んでいたこと。

 良い作品というのは、様々な要素の相乗効果で生まれるものなのだということを痛感させられた映画だった。いいものを作るためには妥協しちゃいけない。

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