映画(は行)

「パラサイト 半地下の家族」カンヌパルムドール

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

話題になっていた映画を見てきた。

私は「王様のブランチ」で知ったのだけれど、「意外な展開!」みたいなところが押されていたから、「どんでん返し」を売りにした分かりやすいエンターテイメントなんだろうなと思って見た。

でもよく考えれば、この映画が獲ったのは、アカデミー賞でなくて、カンヌ映画祭のパルムドールだものな、そう単純な作品じゃないよな。

というのが、観た感想。

 

面白い

なんというか、面白かった。コメディタッチで進むから、ところどころ笑えて「面白い」というのもあるのだけど、一言で言い表せない、なんか色々なことが詰め込まれている感じが、「interesting」の方の面白さを感じさせた。

最初の方で「息子の友達」が持ってくる岩石が、物語の終盤になって、意外と大事なアイテムのようになってくるのだけど、“色々な時代の様々な砂とか石とか溶岩が凝縮されて岩になりました”みたいなあの岩石が、映画全体の“色々ごったまぜて、でも一つの作品に凝縮しました”的世界を象徴していたのか???

重要アイテムのようでいて、結局、どう重要だったのか分からないあの岩の存在も、なんか心に残った。

もしかしたら、なにか有名な韓国映画に対するオマージュなのか???

 

「意外な展開」が一番の売りではない

とね、なんか色々「???」となる映画だったんだけど、でもそれが、「うわぁ、消化不良! なんなの、あの思わせぶりで、でも分からない出し惜しみ感!」なんてふうにはならなくて、私には、良い後味になった。

私はやっぱり、なんか割り切れない、「すかっ」としないストーリーとか設定の方が好きなんだな(笑)

 

確かに、「え? そんな展開?!」という驚きの展開が2/3くらいのところであり、そこから世界が、がらがらっと変わっていくんだけど、それも

「最後のどんでん返しでしてやられた。あぁ、そうだったのか!」

みたいな感じではない。

 

そこまでは、ある意味ほのぼのとした「家族」の話なのだけれど、そこからやや不気味な方向に物語がずれ始める。

本当、地層の断絶みたいな感じ?

前半、「きっとこういう方向に物語は進んでいくんだろう」と思っていたその道筋が、がくんっと急に裂けて、「ええ? どっちいくの?」みたいな(笑)

  

ネタバレしないようには、ここまでしか書けないのだけど、確かに話題になるのは分かるな、という面白さのある映画なので、是非、見てみてください♪

 

ここからはネタバレがあります

(ネタバレがあるといっても、あまりストレートには書かないけど)

私はてっきり、あのお金持ち家族のほうも大きな秘密を持っていて、実はかなり性悪な人たちだった、みたいな流れなんだと思っていた。

結局、あの家族は純粋にいい人だったの??

そこのひっくり返しは起こらないんだ! というのが、私には一番驚きだったかな。

あのままだと、あのお金持ち家族は本当にただの被害者で……可哀そう(匂いについてとか、無意識の差別的発言があるとしても、それは殺されるほどの罪じゃない。もちろん、思わず凶器を手に取った父親の感情も分かるけど)。特にまだ10歳の男の子が可哀そうすぎる。

 

ただそれでも、あの半地下一家の父親も母親も息子も娘も憎めないのは不思議だった。

息子が最後、あの家を手に入れるのは「夢」のシーンでしかなかったけれど、それが実現したらいいな、と思った。あのシーンは、ラストの救い。

あれだけめちゃめちゃなことをしても、応援したくなるキャラクターの作り方は学びたいな、と思った。

結局、あの一家には具体的な目標がなかったからいけなかった。「あの家を手に入れる」という目標さえきちんと定まれば、そこに向けてしっかり計画を立て、手に入れられるのだ……なんていうことも、実はあの映画のテーマだったのだろうか?

 

貧しさ=不幸と定義しがちだけど、あの一家は初めからずっと仲が良くて、楽しそうで、あれはあれで「しあわせ」だったのではないかと思う。

そう考えると、分不相応なものを望むことが破滅につながる、というメッセージなのだろうか。

 

など、本当、色々なことを“多面的”に考え、感じさせる映画だった。

そういう作品は、やっぱりいい作品なんだと思う。

作り手側に回ると、明確なゴールを作って、安心したくなっちゃうけれど、受け手としての自分はそれを望んでいないな、ということを再認識。

もっと、つっこみや批判を恐れないタフな心で作品作りをしたいな、なんてことを思った。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る