よしもとばなな

よしもとばなな「High and Dry(はつ恋)」

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 つり広告で見て、おもしろそうなので、読んでみた。

 ばななさんは最近、ちょっと宗教がかったというか、オカルトチックな方向に進んでいる気もするのだけれど、この作品では、それが自然な感じで消化されていて、「あぁ、分かる」というレベルで書き込まれていた。

 作品の内容は、14歳の女の子が20代後半の絵の先生を好きになるという話なのだけれど、ただの片思いではなく、でも完全な両思いでもなく、純粋にお互いがお互いを理解しあい、必要としあっているというあたたかい感じがずっと書かれていて良かった。恋愛と同じレベルの話で家族に対する愛情も扱われていたのだけれど、その扱い方は実際に子供を持った親の立場でしか書けないのではないかという感じのもので、それにも好感が持てた。

 性的なものの絡まない恋愛っていうのも素敵だなぁと、恋愛の根本部分に触れたような気がした。最近なんか、過激に性的なものが文学としてもてはやされがちで、そういう部分のない作品が純文学系の新人賞を獲ることはないと言い切れるほどになってきてしまっている気さえする。でもそういう奇を衒った、激しいものではなくて、こういう柔らかくあたたかく、「本当は当たり前のこと」を書いている作品を求めている読者って多いのではないかなという気がした。

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