その他 純文学

綿谷りさ「蹴りたい背中」

ついに読みました。

 

上手く捉えている

うーん、なんていうのだろう、一言でいうと「上手く捉えている」という感じがした。

思春期という時期、そこで感じた些細だけれど、自分にとってはとっても重要な思い。同じ経験なんてしていないけれど、「あぁ、私にもこんなときがあったな」という思いだけは妙にリアルだった。

 

ただこの感覚は男性には分かるのだろうか? 多くの「りさちゃんファン」が買っているとは思うのだけれど、この本に書かれていること、そういうおじさん(お兄さん?)方には分かっているのかなぁ。ということだけ、ちょっと心配になった。

 

でも、この作品が「芥川賞」を獲り、世の中に注目されたのは良かったのかもしれない。

思春期の女の子がどんなギリギリのところで必死に生きているか、関係のない世代や性別の人にも少しは伝わるきっかけになるだろうから(まぁ、もっと分かりやすい社会問題を取り上げた方が、そういう「関係のない」人たちには伝わるのかもしれないけれどね……)

 

大人になってから何を書くか

ただ彼女は大人になってから何を書いていくのだろうか、ということを考えると、その行く末はよく分からない。

私がこう書くとひがんでいるように聞こえるだろうから書くのはいやなのだけれど(笑)、若くしてデビューした作家には、子役上がりの役者のような試練が待ち受けているのだろうなという気がしてしまう。「若者の感覚で書いた恋愛小説」から次のステップに進めるかどうか。

 

ま、そんなのは私の心配することでもないのだけれど……。私は私の行く末を案じよう……(笑)

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