キューバの革命家、チェ・ゲバラの若き日の「旅」を描いた映画。本人が書いた同名の小説が原作になっている。
上映の始まる前からチェックしていた映画だったのだけれど、ようやく見に行かれた。
数週間前にも恵比寿の映画館に行ったのだけれど、「満席」で入れなかった。そんなことってあるのだ……とおどろいた。
映画で立ち見をしたことはあるが、満席だと断られたのは初めて。
Contents
ゲバラが「自分のやるべきこと」に目覚めるまでのストーリー
と、そんなことはどうでもよくて、内容について。
一言でいうと、かなり爽やかにまとまっていて、見ていて心地よい映画だった。
とにかく世界を見たいと思うゲバラと親友のアルベルトが二人で一台のバイクに乗り、南米縦断を目指す。
二人とも学生で貧しく、テントで野宿をしたり、近くの家の人に泊めてもらえるように頼みこんだりしながら旅を続ける。……という話。
ただ途中で「共産主義だから」という理由で家を持てず、仕事も見つからない貧しい夫婦に出会ったり、川の向こう岸に隔離されるハンセン病の患者達と接するうち、ただの「若者」だったゲバラが、「自分のやるべきこと」に目覚めていく。
それが「何なのか」は、映画のなかには描かれていない。「これから探していきたい」と医学生の彼は最後に言う。
でも、旅や出会いというものが人の心を動かし、人を変え、思想を変えるということは、ある意味当たり前のことで、だからこそ、その心の動きは普遍的で、すっと心に入ってきた。
ゲバラが何をした人かは分からない。でも素敵な人だとは分かる映画
「革命家」と言われると、なんだか自分とは全く関係のない遠い世界の人のように感じられるが、この映画のなかのゲバラは、本当に普通に純真な若者で、それが良かった。
彼がその後辿った運命については、最後に軽く字幕で説明されるだけで、それがちょっと物足りなくもあるのだけれど、あくまで「心の変化」の一点に焦点を合わせたことで、この映画は成功したのかもしれない。
私は「チェ・ゲバラ」という人間が何をした人なのか、よくは知らない。
でも、少なくともこの映画のなかのゲバラはとても素敵な人だった。
情熱と行動力と、優しさと誠実さを持った人だ。
史実に基づいた映画の良いところは、「こんな素敵な人も世の中にいる(いた)んだ」と、人を肯定し、そして「自分も頑張らないと」という気持ちにさせてもらえることだろうと思う。