本多孝好

「真夜中の五分前」本多孝好

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 1年半ぶりの新刊というが、本当に本多さんは書く量が少ない。多分、働きながら書いている人なのだろうな。

 出せばかなり売れるだろうし、ということは依頼も多いだろうけれど、それでもこのペースを守っているというのは、ある意味すごい。しかも今回の作品は明らかにレベルアップしている!

 「Along Another」(唯一の長編)を読んだときは正直、この人は短編向きの人なのだろうと思っていたが、そんなことはないのだと、見事証明してくれた。

 本多さんはもともとミステリーの賞でデビューしている「ミステリー作家」だけれど、謎を解くところに重点を置かず、あくまで若者の心の描写を一番の売りにしている。

 今回は完全に「ミステリー」を脱し(?)、「恋愛小説」に仕上げている。そう奇抜ではないアイディアとストーリーを「読ませる」ものにしているのは本多さんの技量だろう。

 本の最後で感動して泣きそうになることはあるけれど、今回の作品は、随所でかなり泣けた。「切ない!」その一言につきる。

 恋愛感情とは切ないものなのだということを、リアルに思い出した感じ。

 本多さんも「これは恋愛関係を書いたものではなく、恋愛感情を書いた小説だ」と言っていたけれど、確かに。

 テーマは人を想う感情、それ以上でも以下でもない。それに真正面から向き合っている感じがする。それは決して「酔っている」という感じではなく、もっと突き放している、それがために、もっと切なくなる感情。

 是非是非読んでもらいたい作品です。

 恋愛小説が好きな人はもちろん、普段はそんなものを読まない、「しばらく恋愛なんてしていないな」というような人にもおすすめ。

 恋愛の部分以外にも、ビジネスのコツ、ビジネスにおけるターゲットという概念……などの勉強にもなります。あと、小説を書いている人には、「ユーモア」とか、独特の比喩の使い方の勉強になるかも。

 本当にもう、この人は上手いなぁ……と思いました!

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