本多孝好

本多孝好「MOMENT」

久しぶりに本多さんの「MISSING」と「MOMENT」を読み直す。

本多さんの短編はいい

最近、長編も書いているけれど、初期のころの作品はほとんど短編。

長編もいいけれど、本多さんの良さはやっぱりこういう短編集にあるよな、と改めて思う。

「MISSING」もいいけれど、「MOMENT」のほうがデビューしてから数年後くらいの作品集のため、完成度が高く、安心して読める感じ。

知り合いが「MISSING」を読み(MISSINGの第1話目がデビュー作)、「これでデビューできたのは運がいいよね。デビュー作は本当に下手だと思った。でも、どんどんうまくなってきているのが分かる」とコメントしていたけれど、改めて読み返してみると、確かに完成度は上がっていっているのが分かるかも。

 

独特の世界観と透明感

本多さんの作品は、東野さんとか乃南さんの作品などと違って、「ひょっとしたら私にも書けるんじゃないか」などと思わせる身近さがあるけれど、こういう独特の世界観、透明感は、誰にでも出せるものではないよなぁ。

一応すべての話が「ちょっとしたミステリー」で、読み終わると、あぁ、と納得できる。

でもそれだけじゃなくて、読んでいる時間が心地いい。

その心地よさがなにより、本多さんの作品の魅力だろう。

 

最新刊「WILL」

最新刊「WILL」は、「MOMENT」の続編。

「WILL」の主人公は「MOMENT」の主人公の幼馴染で「MOMENT」にもしばしば登場する葬儀屋の女性。

「WILL」はまだ3分の1くらいしか読んでいないけれど、「MOMENT」と似た世界観を持った短編集になっている。

ただ、いまのところ、「MOMENT」のほうが好きかな。

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