本多さんはミステリー作家だけれど、あまりミステリーらしい ミステリーは書かない人。
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どんでん返しは予想できてしまったけれど
今回は、ちょっとした「どんでん返し」があって、ミステリー っぽくもあるけれど、最近、ミステリーを読みすぎなのか、 はじめの数十ページで、この「どんでん返し」は予想できて しまった......。
本多さんは、そういう構成的なものがすごいわけでもないし、 乃南さんや雫井さんのように心理描写、キャラクターの描写が すごく上手いわけでもないと思う。
でも、思わず読んでしまう。 読ませてしまう。
それって何の力だろう......?
読んでいて心地よい
私は純粋に、本多さんの作品は読んでいて心地いい。
それは「文体」なんだろうか? 「描写」なのだろうか? 「世界観」なんだろうか?
今回は「生きる」ということについて、真正面から捉えた 意欲作だった。
出てくる人物の一生懸命さは良かった。
もしかしたら、本多さんの魅力は、登場人物を通じて垣間 見える作者の人生に対する温かい視線なのだろうか。
チェーン・ポイズン
講談社 2008-10-30 |