森美術館で行われている「STARS展」に行ってきた。
- 草間彌生
- 李禹煥
- 宮島達男
- 村上 隆
- 奈良美智
- 杉本博司
という、どこかの美術館で必ず一度は出会っているような、現代日本美術を代表する作家6人の展示が見られる贅沢な内容。
各作家、1,2部屋ずつ与えられていて、そこにそれぞれの世界が創られている感じだった。
インスタでは「ただ6人の作品が並んでいるだけで、そのなかにつながりはない」と残念がる声があったけれど、どう考えても交じり合えないだろうというくらい、6人はそれぞれにまったく違う方向に向かって突出していて、それがもう、面白かった。
Contents
李禹煥
6人のなかで私が好きなのは、李禹煥。
2010年の瀬戸内芸術祭で「李禹煥美術館」に行き、その世界観にはまった。
何というか、禅の世界??
自分が美術鑑賞に求めているのは、瞑想状態なのかもしれないと気づいたのは、そのときだったかな。
もし大きな家を建てるようなことがあったら、真ん中にただひとつ大きな岩が置かれているような瞑想ルームが欲しい、なんてことを、李さんの作品を見ながら思った。
(下の画像は今回の作品だけれど、下のガラスもなく、ただもう、岩の存在だけでいい感じ)
今回の6人のなかでは、多分一番地味な作品だったからか、李さんの部屋はささっと足早に通り過ぎていく人が多かったように思う。
でも、私はやっぱり、この落ち着きが好きだ、と(笑)
絵も地味だけど、その分、深い。
この潔い余白!
はぁ、とため息が出る。
※ただ、李さんの部屋は村上隆さんの隣で、村上さんの映像作品の音が聞こえてきていたのは、非常に残念だった。
この部屋だけ石が敷き詰められているくらい、世界が創りこまれているのに、本当、残念。李さんの世界には静寂しか似合わない。
奈良美智
と、私は、李禹煥 目当てで行ったのだけれど、他の5人の作家の知らなかった面を発見することができたのも良かったな。
特に、これまで好きでも嫌いでもなかった奈良さんの絵に、自分が惹かれたのも意外だった。
奈良さんの絵は、ちょっと意地悪な感じの子供の印象が強かったけれど、最近の絵は、もっと丸くなっていた。
この絵は、2020年の作品とあった。
色々描いてきて行き着いた、この無垢な柔らかさと、目をつむった、祈るような姿というのが印象的だった。
天才とは
他の4人も、それぞれ「あぁ、〇〇さんの作品だよね」という作品で、圧倒された。
個人的には、草間さんの絵は鳥肌が立つような怖さがあって、かなり苦手なのだけど(子供の頃から、不規則なぶつぶつがすごく苦手。草間さんと逆のようだ)、逆にそれだけ思わせるエネルギーがあるってすごい、といつも思う。
誰かにそれくらい嫌われるから、誰かにすごく好かれるんだろう。
村上隆さんの作品なども、そうなのかもしれない。
今回は村上さん流の阿吽の像があって、意外な感じはしたけれど、その背景には美少女・美男子の等身大?フィギュアが。
ここもまた入った途端、圧倒される世界観だった。
で、思った。
天才って、自分の立ち位置にぶれず立ち続ける人のことを言うんだな、と。
尖ったことをしたら、誰かには叩かれる。
でも、「いいんです。これで」と言い続け、作品を作り続ける。
その姿勢に、その意識に、パワーは宿っていく。
この6人の作家のうち誰かが、隣の展示室の誰かの作品を見て、「あぁ、こういう作品でないと世の中には受け入れられないんだ」と思ったりしたら、どうだろう。
その人の天才性はそれだけで、つぶれる。
だから、天才の存在は貴重だ。
でも、天才って、本当に一握りの人だけを指すものなのだろうか。
そんなことを思った展示だった。
行って良かった。
展示情報
新型コロナウイルス拡大防止措置で、日時指定のチケットを事前にネットで予約する形になっています。
8/13(木)に行ったので(平日とはいえ、お盆)、そこそこ混んでいました。
ネット上はかなり残数があったようなので、定員いっぱいになると、それなりに密な空間かも。
静かに見たいなら、お盆以外の平日がいいかもしれません。
(きっと例年のお盆だったら、もっとやばいくらいの人だったのだろうけど。事前予約制になっていたので、階段にずらりと並んで待つというのはなくて良かった)