東京都庭園美術館で開催されている「生命の庭」展へ。
8人の現代作家の競演だけれど、夏に見た「STARS展」のような派手な顔ぶれではない。
私は20年くらい前から大好きな小林正人さん目当てで行き、他の7人のことはまったく知らなかった。多分、普通の人は小林正人さんのことも知らないだろう。
でも、今回もまたまったく違う視点から、まったく違う題材なり素材なりに興味を持ち、オリジナルの作品を生み出している人たちの競演で、良い空間だった。
庭園美術館自体、旧朝香宮邸という建築物自体が美術作品! という空間だし、そこで凛と自分を貫く作品たちを見られる時間はいい。
人の目を気にしているかって、創ったもののなかにもきっと現れるんだろうな。
人は人、自分は自分と、自分の内側とちゃんと向き合って創作されたものの潔さと心地よさ。
Contents
小林正人さんの絵
小林正人さんの絵を見たのは久しぶり。
そしてその空白時間にインスタなどがはやりだし、美術品の写真撮影OKムードが形成されたので、今回は初めて小林さんの絵を写真に撮れた。
小林さんの絵と向き合う時間が好きすぎて、写真などに収めるのは……という気もするのだけれど、でも人に伝えるには、写真を見せるのは手っ取り早い。
写真だとなんか良さが半分以下しか伝わらない気がしてしまうのだけれど、小林さんの絵はなんだかぱっと明るい。
他の人の作品が展示されている空間に置かれていても、小林さんの作品の周りだけ細かい光の粒子が舞っているように感じられる。
それくらい、私は好き。
是非、実物を見て欲しいなぁ。
私は上の2つの作品みたいな抽象画しか見たことがなかったのだけれど、今回初めて馬の絵があった。
最近制作したものらしい。
ただ、下の絵、ぱっと見、綺麗な馬の絵なのだけれど、口元の下に青いものがある。
それが寄ってみると、ホームセンターの「お買い上げの印」としてつけられたテープのよう。
これはいったい、何を意味しているのだろう。何も意味していないのだろうか。むむむっと一人、唸った。
そしてもう一つ違うフロアにも馬の絵があるのだけれど……
この絵はタイトルが「画家の肖像」。
笑っていいの?! 突っ込むべきなの?! という迷い(笑)
小林さんの絵は本当素敵で、本人に会って話してみたい! という気持ちにもなるのだけれど、一度講演会を聴きに行って、「あ、話すのは無理かも……」と思った(^^;)
なんか、普通じゃなかった。THE芸術家だった。
★そのときの衝撃を書いたブログ記事→小林正人さん(画家)
でも本当、絵は好きなんだよなぁ。
以前の記事でこんな風に書いていたけれど、読み返して、あぁ、そう、確かにそんな感覚と今日また思った。
変な説明だけれど、小林さんの作品を見ているときの感情は、切ない恋心に近い。すごい憧れの人を前にして、もどかしいほど言葉が出てこない。でも、自分の方を向いてくれなくてもいいから、ただそばにいたい、と思ってしまうような感じ。
最近、小林さんは自伝小説を出されているようで、それを買って、今日は帰ってきた。
薄い文庫本なのに1500円+税で驚いたけど(しかも3巻まであるらしい。今は2巻目まで発売中)、読むのが楽しみです♪
青木美歌さんのガラス作品も良かった!
……と、小林正人さんへの想いで終わりそうになってしまったけれど、もう一人良かったのは青木美歌さん。
最後の部屋は暗闇にスポットライトが弱くいくつか当たる感じになっていて、そこに青木さんのガラス作品が飾られていた。
その部屋だけは写真撮影禁止で、写真がないのだけれど、一番絵になる部屋だった。
モビールのように無数のガラスが天井から吊り下げられ、光を反射している様は本当に美しかった。
青木さんの明るい部屋にあった作品は写真が撮れたので、それだけ最後にアップしておく。
この、作品の影が北斗七星のようになっているのに震える。
ガラスってすごい可能性を秘めた素材だなぁ。
光を透過したり、跳ね返したり、影を作ったり、消したりする。
そんな素材の特性を考え抜いた作品たちで、刺激された。
他も見ごたえ充分!
他の6人の作品も、それぞれに独特で、興味深かった。
特に入ってすぐのところには淺井裕介さんの鹿の血で描いたという大きな絵が飾られていて、圧倒される。
「生命の庭」の全体像は東京都庭園美術館のサイトを見ると分かるので、興味がある方は、是非見てみて欲しい!
そして是非、生で小林正人さんの絵を見てみてください!!
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/201017-210112_GardenOfLife.html#artistLink