美術

「ピピロッティ・リスト展」

夏から気になっていたのだけれど、
京都と水戸でしか開催されず、
さらにコロナの緊急事態宣言で
会期が変更になったりして、
なかなか行けなかった。

今週末までと気づき、
日帰りで水戸まで行ってきました!


作品のメインは映像作品だけど、
映像とオブジェが組み合わされた作品や
純粋なオブジェ作品もある。

映像はどれも蜷川実花の世界のように
嘘くさいほど原色っぽく、
美しけれど、棘や毒を感じさせる。



最初は美しさと棘が
7:3くらいかと思っていたけれど、
逆に4:6くらいかもしれない。

社会風刺も込められていそうで、
でも、
社会的な常識を超えたところから
社会全体を嘲笑っているかのようにも
感じられる作品たち。


映像は
“ダメ人間クッション”みたいなものが
随所に置かれている場所で
寛いで見られたり、

ベッドに寝転がって、
天井に映るものを見れたりする。


そんな寛ぎと癒しみたいな面と、
本当はそうではない面。

“本当は怖いグリム童話”
みたいな感じかな。


一枚目の写真のような
美しい映像を見ていると、
座っているカーペットの一部に
五百円玉程度の穴が
空いていることに気づく。

そこに近づいて行くと、
3枚目の写真のような
怖い女の人の映像が!

そして「お前を呪ってやる」とか
「許さない」とか言っている感じの
声が聞こえてくる。
(言語が分からないので、
 正確に何を言っているかは不明)


また、ベッドに横になって
水の中から海藻越しに水面を
見上げるような映像を見ていると、
たまに映写機の光が
自分自身に当たって
眩しさを感じたりして、
それもまた、やられた、という感じだった。


これはもう、
体感するしかない世界。


現代美術は、
視覚芸術、空間芸術の最先端を
行っているように思う。


たとえば4枚目の画像は、
暗い部屋に銀色の球体のオブジェが
10個くらい吊るされ、
壁に映像が流れている部屋
なのだけれど、

壁に映っている映像は、
球体のオブジェの中に仕組まれた
プロジェクターから
映し出されていたりする。

こういうアイディアは
すごいな、と思う。


私は元々、
小説を書く人間が、
小説からしか学ばないなんて
おかしいと思っているのだけれど、

たとえば優れた舞台芸術を
創りたい人は、
現代美術とか建築から
学ぶべきだと思う。

異なる表現方法が、
自分の表現の幅を広げてくれる。



それだけではなく、
この「ピピロッティ・リスト展」からは、
“もっと枠を超えていけ”と
言われたように思った。

自分の表現は
“正統派”の方だと思っているけれど、
その中にも、
棘や毒やユーモアや不条理さみたいなものを
数パーセント差し込んでいきたい、
などと思った。


今週末までしか会期がないし、
土日は事前申し込み制で
すでに埋まってしまっているらしいので、
お薦めするのが遅すぎたけれど……
もしタイミングが合う方がいたら!


色々、刺激になります!

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