映画館で上映されていたときから気になっていた映画をAmazon Primeに見つけたので、見てみた。
ボーイズラブの話で、濡れ場シーンも多いのだけれど、静かに心に残るいい作品だった。
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ストーリーは……
成田凌演じる今ヶ瀬渉が、大学時代から想いを寄せる上級生・大伴恭一(大倉忠義)に再会するところから始まる。
今ヶ瀬は探偵の仕事をしており、仕事で大伴の妻から浮気調査を頼まれる。
そこで掴んだ浮気の証拠をネタに、今ヶ瀬は大伴に体の関係を迫る。
という、文字にするとなんだかすごいところから始まるのだけれど、映像は綺麗だし、ストーリーはどこか淡々と進み、どぎつさはない。
いい作品って、やっぱりバランス感覚に優れているのかもしれない。
単調なストーリーを淡々と描いたらつまらないけれど、実はかなり破天荒なストーリーを淡々と描かれると、思わず「そんなこともあるかも」みたいに、その世界に引き込まれていく。
愛情は性別を超えられるか
「先輩」である大伴は、一見、仕事ができ、人当たりもいい「できる人」なのだけれど、実はかなりのダメ人間。
女性から好意を寄せられれば、すぐにふらふらとついていき、自分自身の意志がない。
そんな大伴だからこそ、今ヶ瀬という同性からの恋心にも、同じように揺らぐ。
そこの設定が、巧いなと思う。
普通だったら、ノーマルな人が、同性から想いを寄せられて、そうは心が揺れない。
でも大伴は揺らいでいく。そしてそれが、非常に自然に見える。
この部分に自然さがないと、この話はそもそも成立しないから、この大伴の人物設定が絶妙だ。
大伴を演じているのは、関ジャニの人なのだそうだけど(あとで知った)、今ヶ瀬役の成田くんに華をもっていかれてはいるものの、やっぱりうまかったのだと思う。
大伴に振り向いてもらいながらも、いつ女性に取られるんじゃないかと不安を隠せず、苦しさで追いつめられていく今ヶ瀬。
今ヶ瀬と付き合うことは「普通のこと」じゃないと分かりながらも、自分をまっすぐに思ってくれる今ヶ瀬に心を持っていかれる大伴。
後半になると、この切なさは、本当に純粋な恋愛なんだなと思えてくる。
相手を大切に思う気持ちは、性別さえ超えられてしまうのではないか、と。
そこまで見る人に思わせてしまうのは、やはりこの作品の力だな。
本当、すべてのバランスが良かった。
成田凌はすごい
そして、原作や脚本、演出や映像をすごいと思うと同時にもう一つ強く感じたのは、成田凌、すごい、ということ。
私は普段ドラマはほとんど見ないので、成田くんの名前は今回初めて知った(^^;)
しかも「あ、朝ドラ(「おちょやん」)の人」という認識。
格好いい俳優って、なんか誰かに似て感じられる。
同じ系統で50代・40代・30代・20代・10代それぞれにそろっていて、「この人は、私の世代で言うと、〇〇さんに似ている」みたいなふうにたまに思う(個人的な感想)。
なので、成田くんも、「今世代のイケメンのひとり」認識だった。
でも、この映画を観て、ただ格好いいだけじゃなくて、この人はきっと残っていくんだろうなと思った。
存在感が違う。
で、wikipedeiaで調べてみたのだけれど、最初に
元々美容専門学校に通っていた。「このままでは簡単に夢が叶ってしまいそうでつまらない」と思いながら就職活動をしていた時、
という文章を読んだ時点で、あぁ、なるほどとなんか思った。
存在感が違う人って、人とやっぱり意識が違う。
以前、堺雅人さんのインタビュー記事を読んだときも、一つびっくりしたことがあって、心に残っている。
子どもの頃、偉人の伝記を読んで、「なんで周りの大人たちは、偉人になろうと思わないのだろう」と不思議だった。
この意識、すごくない?!
この記事は、半沢直樹でブレイクするずっと前のものだけど、「知らない人がいない」くらいの俳優になる芽が、当時からあったんだなと思う。
そして、堺さんも成田くんも、きっとこれからもっともっと活躍するんだろうな。
と、最後はちょっと脱線したけど、「窮鼠はチーズの夢を見る」、良かったです!!
『窮鼠はチーズの夢を見る』