久しぶりに瀬尾さんの本を読んだ。
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瀬尾さんにしてはちょっと痛い
最近、以前よりハイペースで本を出している気もするけれど。瀬尾さんの本にしては、ちょっと「痛さ」が多かったかな。
いつも大体、主人公はハッピーな境遇ではないのだけれど、それをアンハッピーとも思わず、強く生きている感じがする。それに対してこれは、主人公自身が、かなり痛みを感じてしまっているので、その分、少し重く感じられた。
特に、瀬尾さんが学校の先生をしていると知っているから、あぁ、本当にこういうこと感じているのだろうな、なんて、同じ教育者?としていろいろ考えてしまうところもあり。
ラストの光
ただ、ラストはやはり期待を裏切らず、希望を感じさせるものになっている。
やっぱり小説って、最後の「光」みたいなものは大切だと思う。
安易に主人公たちを救わない方が、「文学」っぽくて、ある意味完成度が高くまとめやすいのだけれど(特に純文学の場合?)、読者としては希望のあるラストを求めるよな。
瀬尾さんや宮本輝の小説が売れるのは、そういう安心感があるからだと思う。
そして瀬尾さんの作品のいいところは、「行動」が物事を変えるということを示しているところ。
考え方が変わることで救われることもあるけれど、でも、大切なのは「行動」だと、最近思うな。
主人公やその友人の、思いがけない「解決のための行動」がいい。
ただ、瀬尾さんの本を読んでいない人には、「優しい音楽」とか「卵の尾」とか「図書館の神様」の方を勧めたいな。
ちょっと元気をもらいたいとき、おすすめの作家です!
温室デイズ 瀬尾 まいこ
角川書店 2006-07 |